2009年07月16日

二十歳を過ぎた落語入門(2009超初心者向き改訂版)

Pop is dead.・以前二十歳を過ぎた落語入門という記事を書いたことがあるんだけど、もっと「入門」って事に特化して挙げてみようと思った。なんとなく。
・なんとなくというか「落語 入門」とかでweb検索した結果がどうも気に入らないのです。「雛鍔」だ「目黒のさんま」だって、面白いか?はては志ん生の「黄金餅」ときた。初心者に通ぶって進めたいだけじゃねえのか。
・というわけで、落語を知らない人がいきなり聴いて「笑える」CDという観点が欠如してると僕は思ったのです。だから、僕がセレクトする。先日した記事とかぶる部分もありますが。

・基本的な考え方は「落語といえば『笑点』くらいの認識の人が、いきなり聴いて『笑える』CD」です。噺家は、志ん朝・小三治・志の輔限定で行きます。上方落語は敢えて挙げません。1枚書いておくなら桂枝雀の「代書屋」。

■フリートーク・新作
 やっぱり、いきなり「寿限無」とか「目黒のさんま」とか薦めるのは頭悪いわけですよ。正直面白くないでしょう、あんな話。あれは笑うものではなく、味わうものですから。しかしもっと間違ってるのは、志ん生だ談志だって薦める人がいるんですけど、あれは自分が通ぶりたいだけですからね、そういう人は無視した方が良い。「芝浜」薦めたりね、意味無いと思いますけどね。
 で、僕としてはいきなり古典行かなくていいじゃん、という。笑えるっていう視点で選んだ場合、古典より新作の方が絶対に笑えるから。

・立川志の輔「みどりの窓口」
 清水義範原作の新作落語。志の輔のCDの中では「踊るファックス」と並ぶ爆笑落語。二席目が「しじみ売り」というちょっと微妙な人情話なのがネックだが、彼の新作の中でも第一の作品だと思う。ちなみに現在彼の代表作的な扱いになっている「歓喜の歌」は、良い話過ぎて個人的には評価しない。
 志の輔らくごのごらく(3)「みどりの窓口」「しじみ売り」―「朝日名人会」ライヴシリーズ31

・柳家小三治「玉子かけ御飯」/「駐車場物語」
 これは落語ではなくフリートーク。今生きている数少ない名人の一人である小三治が、身の回りの出来事をお話しする、という内容。その名の通り「玉子かけ御飯の正しい食べ方」と、二席目は「小三治が借りている駐車場に住み着いた、乞食のおじいさんの事」を話した物。いわゆる漫談でもなく、自然体のトークでありながら相当笑える。
 これを聴くと、多分、小三治のことが好きになると思うのですね。そうなってしまえば、彼のフリートークをさらに聴いてみるのも良し、彼の古典を買うのも良し。小三治の古典では、個人的には「味噌蔵」が好き。
 柳家小三治トークショー 3 〜玉子かけ御飯

■古典
 多くの人が勘違いしているのが「落語というのはオチが面白い」という事じゃなかろうか。オチが面白い古典なんて、皆無と言ってよろしい。

・立川志の輔「死神」/「はんどたおる」
 これはちょっとズルなんだけど、古典と新作が1枚に入っていて、総合的に判断して初心者に良いんじゃないかと。「死神」は、どちらかというと怪談系の噺なんだけど、志の輔は序盤を工夫していて、結構笑える。この噺は非常にスタンダードな古典だけれど、志の輔の口演は昭和の名人をしのぐほどの出来だと思う。
 新作「はんどたおる」は、昔JALの機内放送でかかっていて、僕は笑いをこらえるのに必死だった。
 志の輔らくごのごらく(1)「はんどたおる」「死神」

・古今亭志ん朝「今戸の狐」
 志ん朝はほとんど完璧な落語家。何を演じても良い噺家、というのはなかなかいない。古典落語が描くのは主に江戸期の世界なので、用語や背景がどうしても分かりにくい。志ん朝は、その解説を実に適切に行ってくれる。決して説明的でなく、しかし分かりやすく語られる古典。「今戸のきつね」は序盤の用語解説が興味深く、終盤たたみかけるような笑いどころが非常にスピーディーで良い。
 落語名人会(17)

・古今亭志ん朝「三枚起請」
 初心者向け、ということになると志ん朝師匠のCDはどれもお薦めできるような気がしてきりがないので、最後に郭噺(吉原の落語)を1枚。吉原の女にだまされた男が、女と直談判しに行く、という噺なのだけれど、こういう色恋沙汰を演じさせると志ん朝はまた良い。焼きもち・うぬぼれ・疑心暗鬼や脱力感の表現は実に妙。この噺は、爆笑落語とはいかない。しかし心理描写でニヤリとさせてくれる部分が多い。これはやっぱり「大人の楽しみ」と言いましょうか。
 志ん朝復活-色は匂へと散りぬるを い「三枚起請」「お若伊之助」

 とりあえず5枚選びました「三枚起請」はちょっとオマケ的な付け加えです。志ん朝の滑稽話で言えば「鰻の幇間(たいこ)」の方が笑えるとは思います。
 「以前知人に薦められて『目黒のさんま』を聴いたけど、何が面白いのかさっぱりわからない」とか「以前知人に薦められて古今亭志ん生の落語を聴いたけど、何を言ってるのかさっぱり分からなかった」という経験をお持ちの方に、是非聴いて頂きたい入門版CD、という感じのセレクトとしました。
この記事へのコメント
僕も人に聞かれた時渡すために、枝雀の代書屋と米朝の鴻池の犬を入れたカセット作ってました。あえて書かない、なんて言わないで上方版も教えてください。初心者に勧める時は、笑える事を重視すると、難しくないですか?なにを笑うかはほんとに人によって違う。自分が好きで、その人にも好きになってほしい、てゆう視点の方が選びやすい。古典より新作のほうが笑える、てのはどうだろう?誤解を生みかねない書き方かも。笑えない新作の方が圧倒的に多い様に思えるんですが。LSTYさんの勧める新作、と限定しないと、へんなの聞かれると、爆笑レッドカーペット見てた方がずーっと面白いことが露見してしまう。小三治は少し慣れてからの方がよかありませんか? 小三治聞いてもダルかった、ていわれても、(中にはそうゆう人もいるでしょ)ごめんごめん、じゃあ志ん朝聞いてみて、って言えるでしょ。志ん朝の目黒のさんま、てのはどうなんですか? 娘が小4で枝雀に食いついてきた時、近所の地域寄席に初めて一緒に行ったんですけど、メンバーに千朝が入っていたので、安心して連れていけました。
Posted by 熊吉 at 2009年10月17日 16:05
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