2012年03月26日

快楽亭ブラックDVD感想と、談志ぎらい

Pop is dead.・デルタの万年筆「イヌイット」を注文する。実に華やかな万年筆であって、自分には合わないと思いつつも発注してしまった。7万とナニガシ。
・数日後、在庫切れとの連絡。残念ではあるが、一方で7万円の支出がなくなったと安心もする。

・映画「ハイド・アンド・シーク」見た。ホラーサスペンスとしてはまあ良いんだけど、サイコスリラーとしての説得力に欠ける。
・あの程度の事で、多重人格に陥るほどのトラウマになるかね。それだったら、もうちょっと配役を工夫した方が良い。
・まあ、後味の悪い映画ではあった。

・快楽亭ブラック師匠DVD鑑賞、とりあえずのまとめ。

・「山田洋次作・まむし」好演。夫婦の情愛がよく描かれていると思う。ただし後半がやや冗長。場面が変わらない言わば「密室劇」のため、その分、緊張感を持って場面を盛り上げる必要がある。そういった演出が不足している。
・「人性劇場」全然ダメ。これは台本自体が未完成だと思う。
・「聖水番屋」ダメ。これも台本が悪い。古典をエロパロにしてなぞっているだけで、工夫がない。「禁酒番屋」自体、ただの滑稽噺でしかないドタバタ物の話であって、そういう話ほど、単純にパロディーにするだけでは面白くならない。

・「次の御用日」好演。丁稚の描写が良い。ブラック師匠の強みは、上方落語を関西弁でやって不自然でないところだと思った。演出上、この噺のキーポイントである「奇声」を「大声」に変えて演じているが、僕は元の奇声の方が良いと思う。その方が笑いにつながる。あと細かいところで言うと、丁稚が「天王寺屋藤吉」と常にフルネームで名前をいうのは不自然。

・「蛙茶番」話にならない。終始落ち着きがなく、話に全く身が入っていない。こんな高座をDVDにするな。
・「野ざらし」つまらない。そもそも「野ざらし」がつまらないんです。ブラック師匠は関西弁もいけるんだから「骨釣り」にすれば良いのに。
・「SM幇間腹」好演。これもくだらないエロパロだが、幇間の人物描写が良い。つまり、幇間という日頃虐待されている人間だからこそ、異常性愛を愛好する、というようなドラマが感じられる。

・さて僕は快楽亭ブラックを「談志の弟子」として聴いているわけではない。談志に対する感想は「落語評論家だね」といった程度の物であって、評論は面白いが、肝心の落語はちっとも面白いと思わない。志ん生師匠の「超劣化コピー」でしかないじゃないか、あんなもの。
・自分の芸に自信がないもんだから、話の途中に「これは○○(昭和の名人)のカタだ」とか「こうするのが芸の細かいところだ」なんて無駄な解説を入れる。落語通のファンの方々はそれで満足かも知れないが、五月蠅くって仕方がない。
・で、僕が生理的にどうしてもイヤなのが、この人の笑い顔です。「居残り佐平次」の佐平次や、幇間の役を演じる時の愛想笑い、これが甚だ醜い。つまりね、談志っていう人は他人に頭を下げられない人だったわけですよね、そういう人が、無理矢理笑顔を作ってる、その「地の部分」がモロに出ちゃって、虫酸が走るほど不快なのです。
・あんなに不快な幇間役ってのはないよ。あんな幇間がいたら殴られるよ、「イヤなら帰れっ!」て。つまり、修行が出来てないって事なのかなあ。30やそこらで売れっ子になって、わがまま放題生きてきた人だから、人間を描けないんじゃないか、と思える。しかし志ん朝師匠だってボンボンなわけでしょう、志ん朝師匠の幇間は良いんだけどなあ。談志は屈折してるけど、修行が出来てないって事かね。
・落語家っていうのはもともと「お座敷芸」なわけだから、本来、幇間と近い存在なんです。どちらも、もともと「客の御祝儀で食っていける」ような稼業なわけでしょう。その幇間を演じられない落語家っていうのはおかしいんです。
・談志は、立川流を作って、客の祝儀じゃなく、弟子のアガリで食っていける仕組みを作った。だから落語家の本来の姿を失って、幇間の気持ちも描けなくなったんじゃないか、というのが僕の説です。

・てなわけで、僕は落語を30年あまり聴いてますが、談志は嫌いです。そこに一抹のコンプレックスを感じていたけど、もう良い。僕は、談志なんてひとっつも面白いと思いません。
・もちろん、好きな人は好きで結構。しかし「談志を面白いと思わないやつはダメ」っていうくだらねえ通説を振りかざすのはやめてね。
・僕が志ん生師匠をあまり推さないのも、それがあるんだよなあ。個人的には志ん生師匠好きなんだけど、自称落語通の方々が言いたがる「志ん生の良さが分からなければ通じゃない」みたいな物言いが大嫌いだから。だから敢えて馬生師匠に逃げてみたりする。

・で、評論つまり「メタ落語」をやらせても上手く、また落語もスコブル面白い人っていうのは、僕は枝雀師匠じゃないかなあ、と思うわけですね。他愛のないネタでも、マクラにさりげなくメタ視点を織り交ぜる手法、何度も聴いてる「池田の猪買い」を先日また聴いていて、感心した。
・ちなみに僕が一番好きな枝雀師匠のマクラはCD「兵庫船」におけるものです。これは日常風景の描写でしかないんだけど、なんとも良い。
この記事へのコメント
落語・・・遥か昔に、落語好きの友人につれられて「米朝一門会」に行きました。

枝雀は、圧倒的に凄かったです。
笑えて、泣けて。
あのときの会場の熱気はいまでも鮮明です。そのときのネタが何だったのか、全く思い出せないのですが...
すびばせん。
Posted by ne_san at 2012年03月26日 21:20
■ne_sanさま
 枝雀師匠って誤解されてると思うんですよね、三平と同列に評価してる人が多いんじゃないのかなあ、と思う。
 派手なアクションのせいで、「笑いのためなら落語のカタを壊してなんでもする」みたいに思われてて、良いイメージがあまりないんじゃないか。イロモノ的な感じで。
 でも、実は相当上手いと思うんですよね。
Posted by LSTY at 2012年03月27日 15:11
たぶん、代書屋、だったと思います。
墨を摺る手つきがあったと思うので。。
YOUTUBEで確認したら、ありました。
ついでに観た「かぜうどん」で、泣いちゃいましたね。
好きな噺家でした。
Posted by ne_san at 2012年03月28日 00:02
■ne_sanさま
 「セーネンガッピ!」までは思いつくとしても「セーネンガッピ!ヲ!」は秀逸だなあ、と思いますね。ガタロ、とかポンとか、密室劇で登場人物二人だけ、それであのワンダーランドぶりはすごい。
Posted by LSTY at 2012年03月30日 10:05
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