2012年07月17日

7/16快楽亭ブラック大毒演会@大阪の感想

Pop is dead.・7/16(月)快楽亭ブラック「大」毒演会@大阪トリイホールに行ってきた。

・快楽亭ブラ坊「転失気」
・くすぐりが入れられる部分は自分なりに工夫しており、一所懸命やっていた。

・快楽亭ブラック「たがや」
・良いも悪いも、そもそも僕はこの噺が面白いと思わないわけです。なんというか、漫然とした話だと思うわけですね、ピントが定まらない。たが屋が混雑に巻き込まれて侍と出会う箇所、たが屋の啖呵、侍を切る部分、どこかにスポットを当てて劇的に演出しないと、なんかグッと来ない気がする。例えば、侍が切られて血まみれになっているバックで花火がどーんと上がる、というような演出があると凄味があるよなあ、とか。

・テント「漫談」紙芝居(新説浦島太郎)、人間パチンコなど。蜘蛛の決闘は無し。
・スチャダラパーがサンプリングした「わからん人放っときますよ、いちいち説明しませんよ」のオリジネイター。生で見られるだけで幸せ、という芸人。そう言うとつまらなかったようだが、実に面白かった。
・やっぱりねえ、こういう芸人が好きなんですね、私は。ある種の「スベり芸」なんだろうけど、それをずっとやってるというのが良い。例えばダンディー坂野が60歳になってゲッツやってたらすごく良いと思うんですよ。それだけではなく、ナンセンスでもある、良い芸でした。
・北野演芸館って、ケーシー高峰のための番組じゃないですか。あんまりテレビには出ないけど、何ともいえずくだらない芸人ってのがいて、その人のための番組。関西でもああいう番組を作って欲しい。テント出してね。もう死んじゃったけどミスターボールドとかね、なんともくだらなく、面白い芸ってのを、もっと評価するべきと思いますね。

・立川左談次「阿武松」
・この噺、この歳になるまで「あべまつ」だと思っていた。ということは活字で読んだばかりで、聴くのは初めてなんだろうか。いや、そんな事もないと思う、圓生師匠による口演を聴いた覚えがあるんだが、ボーッと聞いてたんだろうか。正しくは「おおのまつ」と読む。
・この人、やせているので相撲取りがピタッと来ない気がするが、悪くはない。サラッとした涼しげな芸風。

・桂雀三郎「帰り俥」
・これも初めて聴く噺。まくらでリニアモーターカーの話題があったが面白いだけでなく、枝雀の芸を引き継いでるなあ、と感心。理屈っぽいナンセンスと、派手な動作。理屈を動きで中和して笑いに昇華させるその作法。
・人力車を引く動作、声のかけ方が良い。ゆったりしながらスピードを感じさせる引き方。
・その風貌と「ヨーデル食べ放題」から、きわものかと思っていたらきちっと米朝・枝雀の流れをくむ芸だった。良かった。

・月亭可朝「たぬ賽」
・冒頭「性犯罪を起こさずに生きるのは難しい」から始まって、ストーカー自虐ネタからえんえん性犯罪話。あたかも「再犯しまっせ」と宣言しているかのようで、隣に座っていた女性客は終始失笑。
・しかし、ねたに入るとこれがもうたまらん感じ。枯淡の極み、下手なくすぐりなど一切なし、ただ淡々と、また陰気な調子で話が進み、これが実に良い。
・実は話を一部飛ばしてしまった。タヌキがサイコロに化けて、上を向いたら二(目の玉)で、ピンはお尻の穴、というくだり。ここを間違えて飛ばしたんだけど、飛ばしたせいで説明臭さが抜け、逆に良かった。
・こんなに良い噺家だったのか、知らなかった。「可朝は〜、ボインだけやないんやで〜♪」と思いました。

・快楽亭ブラック「SM幇間腹」
・まくらはブラック作・新作歌舞伎「王蠱真理教」(「オウム真理教」では六文字なので勝手に漢字を当てた)
・鶴屋南北調の、妖術あり、因縁話あり、そして宙乗りありの大作。客席は概ね引いていたが、なかなか面白かった。舞台化は不可能なので、芝居噺にして高座でやって欲しい。
・「SM幇間腹」、この噺を生で聴くのは初めて。DVDに入っていたブラック流落語の中では「マラなし芳一」と並んで好きな演目なので、聴けて良かった。しかし幇間の変態性描写が今日はあっさり気味で、そこが少し不満。これは構成の問題で、山本リンダのくだりを後ろに持っていったために、中盤がちょっとあっさり気味になっているのだ(アッサリったって、普通の人からするとコッテリ過ぎだろうが)
・しかし扇子をエネマシリンジに見立てての所作、そこから落ちに至るまでの流れは非常に良かった。サイテーに面白い落語だと思う。
・ただ亀甲縛りがねえ、中途半端だよねえ、もっと本格的だと格好良いかなあ。
・あと、どんなにひどく改作しても志ん生師匠の「幇間腹」の方がずっとサディスティックだよね、「針に肉がついた」という、あのクダリ、あんなにグロテスクで恐ろしくて笑える所はない。

・その後、打ち上げに混ぜていただく。可朝、雀三郎、左談次、ブラック、それにテントという顔ぶれ全員集合の上での打ち上げ。すごかった。
・特に可朝師匠はブラック師匠が三枝師匠の弟子として「桂三Q」を名乗っている頃から知ってるらしく、感慨深げであった。その時は知らなかったが、打ち上げ会場のすぐ近く、NGKではその日、まさにその時間、三枝の文枝襲名公演があったらしい。
・名古屋もそうだが大阪のブラックファンも個性の強い人が多いようで、一言で言うと「厄介な客」が居る。しかしこの「厄介」というのも愛嬌であるし、芸人と客という間なんだから、客の側も自己を解放して「適度に厄介」になるべきかも知らん。いや、私がそうなりたいというわけではないが。

・あと、蛇足ではあるがトリイホールに対する文句。
・上演中も客席ライトが点きっぱなしで、しかもそれがきつめのスポットライトみたいな奴なんです。これが、腕時計なんかに反射する。これ気になるなあ。
・座席が階段状・坂状に配置されていないのは仕方ない。その代わり、前の客の頭が邪魔にならないよう、椅子が斜めに置かれている。
・その置き方が間抜けなんですな。つまりねえ、席を斜めに並べる意味は「舞台を見る際、前の客の頭が邪魔にならないように」って事なんです。これが落語の場合、客は真正面に舞台を見るわけではない。だから、単純に斜めにすりゃいいってもんじゃないんです。僕が最初座った席は、なまじナナメになってるもんだから、却って高座が見にくくなっていた。
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