2012年11月19日

「天竺徳兵衛新噺」再見

Pop is dead.・先日見た歌舞伎俳優、中村米吉があまりに可愛すぎて、もう一度明治座行きを決める。
・初日はコネクションを使って最前列を確保したが、あまり無理を言うのも気が進まないし、今回は自力で3等席を購入。

・この歳まで、芝居のチケットがどう管理されているのか知らなかったが、少し分かってきた。まず、チケットは劇場、プレイガイド、役者、とそれぞれの持ち分に分けられる。それを前売りでそれぞれがさばく。売れ残った分は公演の数日前に劇場に全て戻ってきて、当日前売りにあてられる、という仕組みっぽい。
・明治座では、公演前日の夕方(18時?)から、売れ残った切符のweb販売が開始される。運が良いと、この時点で最前列の切符が手に入ったりもする。

・家から傘を持ってゆくのが嫌なので手ぶらで出、大丸で現地調達。私の要件は単純で「柄は木製か革巻きで、布の部分は黒の無地」ほぼこれだけです。しかし、そういうのがない。特に「無地」の傘ってのがない。「YSL」とか書いてあるのね、ビンボ臭い。しかしなんとか、要件に近い物を購入。

・昼過ぎに浅草に行く。雨激しく、水たまりに足を突っ込む。最悪だ。
・六区あたりをブラブラしていると、工事をしている。以前は気にならなかったが、見るとドンキホーテが出来るのね。浅草も破壊されるんだなあ。
・浅草に来たのは、尾張屋のかしわ南蛮が目当て。まず一杯と思うが、この店の酒は飲むまい。ガラスの一合瓶で酒を出すような店だもの。
・なのでビール。それに揚げ銀杏。揚げ銀杏ってどういうことだろう?と思って「この、揚げ銀杏ってのは何ですか?」と訊くと「銀杏を揚げたものです」という答え。こういう返答をする人の脳内細胞はどうなってるんだろう、と思いながら「天ぷらみたいに衣を付けて揚げてるんですか?」「いえ・・・」「素揚げですか?」「素揚げです」じゃあそれをもらいましょう。10粒700円。
・ビールは1本だけにして、かしわ南蛮。いつもと雰囲気が違うな。以前はもっとピンピンした蕎麦だと思ったんだけど。水で締めてないのかな。

・浅草の松屋に寄り、塩鮭弁当を購入。帰路のつまみに、サラダと牡蠣フライ。松屋ってスマートなイメージだけど、浅草だとそうじゃないんだな。場末の百貨店といった趣き。
・浅草地下街の存在を初めて知る。ミニ九龍城って感じ?やばい。東京にもまだこういう場所があるんだねえ。
・雨の中歩くのも嫌なので、早々に明治座に向かう。

・しかし明治座というのは不便な場所に立っていて、人形町からは微妙に歩くし、最寄りの浜町っていうのも利用しにくい駅だ。そもそも、東京っていうのは電車の駅が多すぎて不便な町だと思う。なまじ駅があるから、どこにでも地下鉄で行こうと思ってしまう。歩けばすぐなのに、遠回りしてしまったりする。蔵前駅お乗り換えみたいな思わぬトラップもあるし。
・明治座、開演1時間ほど前には開場している。年寄り相手だけに分かってるなあ、と思う。年寄りってのはヒマだから、異様に早く集合しちゃうのね。かく言う私も早く着く。
・今回は3階3等席の左側(花道側)、2階席ロビーから裏階段みたいな階段を登って上がる席。屋根裏部屋みたいな扱いだ。しかも席が狭い!こんな狭い席ってあるの?手すりも邪魔で、前のめりにならないと舞台がまともに見えない。前のめりになっても、舞台の左3分の1は見えず、当然ながら花道は一切見えない。この席はひどいなあ。劇場から「お前は貧乏人だ!」と責め立てられてる気分。

・「天竺徳兵衛新噺」初日は猿之助に圧倒されてワーッと興奮状態で見たけど、今回は一歩下がって鑑賞、というか舞台がまともに見えない席なので、入り込めずに淡々と見る。
・改めて見ると、おもちゃ箱的にいろんな物をガーッと詰め込んだ芝居で、とにかくスピード重視で視覚的に楽しむ芝居。それゆえに説明を端折りすぎてる感じはあるね。巳の年月揃ったとか、南北物のお約束を知らないと分からないんじゃないでしょう。あと、あれだけ短時間で見せるのであれば、奴磯平(亀鶴)と尾形十郎(右近)という役を一人に集約しちゃった方が一本筋が通るんじゃないか、と思った。
・3階で見ると以前ほど迫力を感じないが、しかし猿之助は張り切って演じている。徳兵衛とおとわが良い。おとわの着物は、小平次殺しの場面ではからす、次のシーンではこうもりになるが、共に良い。
・あと、僕はどういうわけだか座頭・徳の市のシーンが好きだ。木琴叩くところとか、なんか妙に好きだなあ。今回は木琴の鍵盤(音板)が落ちるハプニングあり。どうでもいいが。
・笑也はきれいだねえ。今回は(私の中では)米吉の陰に隠れて目立たないが、十分にきれいだ。

・前も書いたけど、早替わりが見事すぎて面白くない。体力任せで、ものすごいスピードでの早替わりの繰り返し。これがあまりにスムーズすぎて拍子抜けしてしまうのだ。見事すぎるので、感動に至るハードルが高くなってしまう。しかしその中でも、蚊帳を使った早替わりはすごかった。あれは見事。
・さて今回3階左側の席を取ったのは「つづら抜け」があるからだ。宙に浮いたつづらから猿之助が飛び出して、そのまま宙乗りになる。これが目の前に見られる席ってのが3階左側。これはしっかり見られた。宙乗りシーンでは客席の照明も点き、これが感動を大きくする。やはり今回も感動的だった。
・山門のシーンから大詰めに至る場面は、猿之助の迫力が十分出ていたように思う。この人の芝居は、今後も見なきゃなあ、と思う。

・で、中村米吉のおまきは、やはり抜群に可愛かった。このおまきっていうのは性格破綻者なわけですが、無邪気という解釈をすれば可愛い役柄です。冷静に考えれば米吉は年齢相応に下手なんだけど、その下手さが良く作用している。つまり、おまきの無邪気さがその演技によって強調され、愛らしさが増している。役に救われている部分がある。
・最後、小平次の霊に力を授けられて太九郎の腕をねじり上げる所なんか、セクシーだなあ。ねじり上げられたいなあ。
・あ、下手って書いたけど飽くまでも「年齢相応に」ですからね。同じ年齢の頃の菊之助と比べると、130倍くらい上手い。
・というわけで(どういうわけで)生まれて初めて、歌舞伎役者の舞台写真を買ってしまった。1枚500円、高い!歌舞伎の舞台写真ってのはどうも通販されていなくて、劇場内でしか入手できないっぽい。それは貴重だなあ。
・今の僕にとって、米吉の位置づけはアイドルね。猿之助が良いとか海老蔵が良いとかそういう次元ではない。アイドル見に行くのと同じ感覚ですな。しかし、かといって「本人とお近付きになりたい」とは思わない。舞台上の、女性としての米吉が良い、という事なので。

・で、職場でそういう話をすると気持ち悪がられるんだけど、皆さんジェンダーに縛られて生きてるんですなあ、と思う。僕は小学生の頃から宝塚見てて、生まれて初めて好きになった芸能人が大地真央や日向薫という宝塚の男役だったので、そこらへんの感覚は普通の人と全然違うんだろうと再認識した。

・明治座から東京へってのは実に行きにくいし、雨も降っているのでタクシーで。帰路、宝酒造のCAN-CHU-HIが意外と美味しくて驚く。
この記事へのコメント
初めまして。郡山市の渡辺佳子と申します。米吉さんのファンクラブは、まだ無いかな、と思いながら検索しておりました。私も中一の娘と三階西で観、その後、二階正面、二階西で拝見しました。
「亀治郎の会」ラストでの栴檀皇女の素晴らしさに「(尾上)右近さんじゃないし、どなただろう?どなただろう?」と。
福助さんの「道成寺」も観に行って良かったです。演舞場に向かう道すがら米吉さんを見かけたのですが、出勤してきた裏方さんと話していて、声かけられず。追いかけていき、写真を撮らせて頂けば良かったなと。昼の部のみで帰られたのかと思ったのです!するとイヤホンガイドから「所化、米吉」と。以降、オペラグラスで只管、彼を。時々、福助さんを、チラ観しておりました。私にとりましては、あくまで米吉さんが主役です。
本当に、明治座では出番が多く、嬉しゅうございました。歌舞伎を30年以上観てきましたが、米吉さんが一番かわいらしいです!猿之助さんは私の応援する若手さん達を起用してくださるので嬉しいです。
いつも米吉さんのブロマイドは第二希望しか買えず、浅草でも前の方でSOLD OUT!しかし、「もしかしたら、帰りまで入るかもしれないから」と言われ、見ると「売り切れ御免」が外されており、無事bX3を買うことができました。米吉さんは私の老後を一番輝かせてくれることでしょう。猿之助さんと彼を観続けるつもりです。
「八重の桜」も宜しくお願い致します。おじが鶴ヶ城でボランティアガイドをしております。お役に立てることがございましたら仰ってください。
では、これからも勘三郎さんに三階でも楽しめることを教えて頂いた歌舞伎を観続けて行こうとおもっています。
Posted by 渡辺佳子 at 2013年01月18日 23:30
■渡辺佳子さま
 コメントありがとうございます。1月浅草歌舞伎でも、中村米吉のブロマイドは売り切れだそうで、米吉ブームは確実に来ている、と感じます。
 3月は急遽決まった「夏祭浪花鑑」で良い役が付きますね。4月以降、歌舞伎座はオールスター目白押しで米吉の出番は少ないかもしれませんが、その分、その他の劇場や地方公演で活躍してくれればと思います(私は、しばらくは大混雑するであろう歌舞伎座は避けたいと思っているので)

 私も子供の頃から歌舞伎を見ていますが、ここまで可愛い、と感じる女形は初めてでした。そこから派生して、江戸期の歌舞伎では、芸の巧拙以前に「美しさ、可愛さ」が女形の価値だったのではないかと思い至りました。
Posted by LSTY at 2013年01月21日 17:29
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