2014年02月04日

2/3日記(大須演芸場最後の日)

Pop is dead.・大須演芸場最終日、11時開場だろうと思い、10時に着ける電車の切符を事前に買っておいた。
・そしたら10:30開演だってやんの。まあ30分前に着けば入れるか、平日だし。と思ってたら電車がダダ遅れして、演芸場に着いたのは10:20頃。その時点で満員、後から知ったが入場制限がかかる直前に滑り込んだ感じ。3時間立ち見はつらいなあ、と思っていたら、席を確保してくれていた常連の知り合いがいて座れた。非常にありがたい。

・客のほとんどは1銭も払わず。芸人が募金を一生懸命お願いしても、ガン無視。10円入れた客が居たそうだが、それはまだマシということか。こういう人間が大須演芸場を潰したのだと思う。つまり名古屋という土地が大須演芸場を閉鎖に追い込んだわけで、今になって惜しいもヘチャチャもあるか、と感じる。
・私は「こういう時に1万円とか入れるのもどうかねえ」と考え、いつも通りに1,500円也を投入。

・最終日出演者は快楽亭ブラ雲・快楽亭ブラ坊・ひとみちゃん・チャレンジャー・露の雅・川勝折れ木・桂珍念(中入り)かつら竜鶴・桂ぽんぽ娘・古池鱗林・雷門獅篭(中入り)ジキジキ・雷門福三・宝井駿之介・柳家三亀司・快楽亭ブラック
・演目は雅「ん廻し」、珍念「相撲場風景」、隣林「芸どころ名古屋」、獅篭「時きしめん」、駿之介「豊竹呂昇伝(正式演目名分からず)」、ブラック「お血脈」

・いきなりひとみちゃん(男)が泣き出して引く。定席では1曲も歌わずに降りることも多いが、大須演芸場閉館騒動で舞い上がっているので3曲歌う。そういう所がどうかと思うよなあ。
・チャレンジャーは大須演芸場になじむ泥臭い漫才。雅はオーラのない田舎の女の子という雰囲気だが、お行儀の良い上方落語で、まずくはない。川勝折れ木は今っぽいフリップ漫談だがパンチに欠ける。
・珍念は一応落語をやったものの、持ち時間の大半をいつもの小咄集でごまかした感じ。やっぱりこの人のことは最後まで好きになれなかったなあ。
・竜鶴先生は満員の客を前に本当に嬉しそうに下手な三味線を披露。ギャラもらってカラオケやってるような物で、幸せな爺さんだなあ、と思う。いつもの不協和音を聞いていて可笑しくなってくる。
・ぽんぽ娘はメイド漫談で先輩芸人をボロクソに言う。面白い。
・隣林はいつものようにトチりまくりながらの新作講談。
・獅篭の「時きしめん」がそこそこ良かった。この人の落語を聴いて面白いと思ったのは以前の「キウイとてちん」と今回の2回
・ジキジキはいつもの内容。イロモノの人というのはネタが少ないので大変だが、いつものネタをやって「またか」ではなく、好意的に「いつものやってるな」と思われる芸人になるのは大変そうだ。ジキジキはそういう芸人だと思う。最後、大須演芸場の歌を歌っている時、少し泣けてくる。今回は歌詞のバージョンが違ったが、通常は「足立席亭ヘッドホン」が落ちだ。この歌はもうやらないのかな。
・福三はいつものやつ。またかと思う。
・駿之介は二度目だが、ブラック師匠が惚れ込んだだけのことはある。隣林と同じ舞台に上がると芸格の違いがはっきりと出る。一昨日の「東京五輪」も素晴らしかった。
・三亀司は大須閉館騒動で大化けした。いや、彼自身は全く変わっていない。定席では「ただのやる気のないコマ回し」、自称「脱力系コマ回し」なんだけど、あのやる気のなさと「大入り満員の客」とが融合した時にものすごい面白さが生まれる。何百人客が入ってもテンションがひとっつも上がらない自然体。これが素晴らしく面白い。冒頭、祝儀を渡す客あり。三亀司「今日は遅れちゃいかんと思てタクシーで来たんだわ。タクシー代5,000円(もらった祝儀を見て)2,000円しかありゃせん。あと3,000円足らん」そこからいつも通りのやる気のないトークと独楽回し。この人にしては珍しく、最後に「なんでも見たいもん言いぃ。何でもやったるわ」と客にサービス。羽織で締めた。

・ブラック師匠、冒頭にひとみちゃんを使って執行官が入ってきた際のリハーサルを実施。「みなさん、勘違いしちゃあいけませんよ、正義は向こうにあるんです!家賃払わなかった席亭が悪いんです!」途中、馬るこさんが緊急報告「大須演芸場裏の公園に、裁判所の執行官、弁護士、それに警察官多数が集結しています」ケーサツも来るのか、と思う。
・ネタは「お血脈」関連エピソードをたっぷり織り込んで「いつ終わっても良い」臨機応変な構成。なるほど。途中、裁判所の職員か誰かが「毎日新聞の方〜」と呼ぶ声。師匠、高座から「毎日新聞の尾崎さーん!」と声を掛け、2階席にいた尾崎記者が慌てて降りていった。ブラック師匠が一言「まさか、尾崎に邪魔されるとは」

・舞台が地獄に移り、閻魔様登場の直前13:30過ぎに、腕章を着けた執行官が入場。この執行官が大本営八俵こと居島一平によく似ているので可笑しかった。そうか、居島さんは役人顔なんだ。役人顔の極右漫談家。事前のリハーサル通り、客が執行官を割れんばかりの拍手で迎える。
・想定されていたように「即刻公演を中止し、全員すみやかに退去してください!」というような勧告や命令はなく、執行官は無言で師匠に対して公演終了を求めたようだ。ブラック師匠もそれに応じ「冗談いっちゃぁいけねえ!『お血脈』の一席でございました」と無理矢理に落とす。緞帳は下りず、出演した芸人が舞台に上がり、新聞社のカメラマンも舞台に上がって客席を撮っている。
・客は全然帰らず、高座の写真を撮り続けている。私も何枚か撮った後、お茶子(寄席の雑用係)の姫ちゃんに「打ち上げは行くんですか?」と訊く。少し曖昧な返事だったのでもう会えないかもと思い、餞別品を渡して演芸場から出た。「姫ちゃんだったらこれだろう」と思った品だけに、気に入ってもらえたようで良かった。

・帰る時ふと見ると、ロビーの片隅に演芸場名物「席亭のヘッドフォン」が放置してあった。通常公演を行っている間、席亭(社長)は高座を気に掛ける事なく、このヘッドフォンを装着して録画したドラマを見ている。客が来ても歓迎するそぶりなど見せることなく、ヘッドフォンをしたままで無言で入場料1,500円を受け取る。芸人に渡して欲しいと祝儀を手渡してもニコリともせずに「誰宛か書いて。あんたの名前も書いて」と迷惑そうに言う。そういう席亭だった。そんな経営者がやってるんだから、潰れるのは自然の理である。
・とまあ、そういう曰く付きのヘッドフォンが目に入ったので「パクってやろうか」と少し思ったが、我慢した。

・外に出ると黒山の人だかり。入れなかった常連客の顔も見える。私が入れたのは幸運だった。席も確保していただいてありがたかった。
・駐車場脇に寒空はだかが居る。「来たんですか?」と声を掛けると大阪からの帰りに寄ったのだという。
・演芸場の前で常連さんやブラック師匠と話しながら、1時間ほどいただろうか。ブラック師匠がひとみちゃんのメクリを踏みつけるパフォーマンスなど。
・何人かの若者が執行官に食ってかかっているようだった。見たこともない顔だ。お前、今日初めて来て何言ってるんだよ、と思う。常連客はそんな事をせず、おとなしくなりゆきを見守っている。
・おもてにロープがかけられるところまでは見たが、いつまでもいても仕方ないな、と思い、打ち上げ会場に向かう。
・途中、姫ちゃんが両手に荷物を抱えながらインタビューに答えているので荷物を持ち、ついでに「打ち上げ会場まで持っていきましょうか?」と訊く。当然「いや、いいですよ悪いから」と答えるだろうと思ったが、全く遠慮せず「いいんですか〜?」の一言で荷物運びする羽目になる。

・打ち上げ会場の居酒屋「お馬のおやこ」に着くとブラック師匠はもう来ていて、客もあわせて10人くらいは集まっている。しかし出席者全員は揃わないのでなんとなく乾杯。少しずつ芸人も客も集まり、最終的には20人以上になるが、それでもいつものメンバーとほとんど変わらず。結局、本当に限られた人だけが大須の客だったのかと思う。
・テレビを点けてもらい、中継されている大須演芸場のニュースを見ながら宴会。しみじみとした雰囲気はなく、画面に足立席亭が映ると「金払え!」と罵声を浴びせ、席亭が妙な持論を展開するのに爆笑しながら飲む。時々思い出したように全員が「ゴホンと言えば!竜鶴さ〜ん!」と叫ぶ。
・何局かのテレビ局は午後の情報番組で大須からの中継を何度か入れていた。芸人・客を含め映るのはほとんど知った顔である。
・最後に来た芸人は鈴々舎馬るこ、ジキジキだろうか。馬るこさんは疲れているのか不機嫌なのか、終始テンション低い。サインを求められて不機嫌そうにサインしていた。私もサインいただきました。お疲れの所、すいませんでした。
・打ち上げでも「これからどうするんですか?」といった内容ではなく、下らない話ばかりする。酔っ払っていたので、ほとんど覚えていないけど。
・5〜6時間も飲んでいただろうか、べろべろになって帰る。会費もちゃんと払ったか覚えていない。

・かくして大須演芸場はなくなった。万が一経営者が変わって再開するにしても「いつ行っても座れる演芸場」にはならないだろうな、と思う。本当に最後の最後の2年弱、大須演芸場に通えたのは面白い経験だった。

・余談。というか個人的には大事件。「今日、大須演芸場に来て良かった!」「ブラック師匠のファンをやっていて良かった!」と思える事件があったんだけど、それはここには書かない(後日書くかも知れないけど保留)
posted by LSTY | Comment(4) | TrackBack(0) | 大須演芸場 | このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
ほとんどの客が一銭も払わず、募金をお願いしても―、ってのは名古屋気質ではないと思いますよ。長年住んでますが、そういう名古屋人には会ったことないですから。演芸場良い形で再開出来ると良いですね。
Posted by アゲイン at 2014年07月05日 21:16
■アゲインさま
 じゃああの客たちはどういう層だったんでしょうねえ。「タダだから来た」というのが9割以上で、あとは昔来ていた人も含めた常連という感じでした。ほとんどの名古屋人は、閉館するからと言って来るわけでもなく、冷めた目で眺めていたということなんですかねえ。
Posted by LSTY at 2014年07月07日 12:00
こんにちは。

大須演芸場は再開のめどがたったみたいですね。

昔私が行った時も、こちらが恥ずかしくなるくらい少人数でしたが、何とか
盛り返してくれたらいいのですが・・・
Posted by 孫みい at 2015年01月25日 13:14
■孫みい様
 予定が遅れて遅れて、来年の正月興行に間に合えば良いペースなんじゃないかと思いますが、再開するようですね。
 ただ、定席の寄席ではなく、貸しホール的な運営をするようなので、今までとは全く違った感じになってしまうでしょうね。
Posted by LSTY at 2015年01月27日 18:06
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