2014年12月15日

赤瀬川原平展と、米吉のナマ足(食べた物は蕎麦と寿司)

Pop is dead.■12/12
・仕事後、門前仲町BigHornへ。少し飲む。帰り、博多金龍というラーメン屋へ(大阪の金龍とは多分無関係)「風邪をひいて咳が止まらない時にラーメンをすすると激しくむせる」という事を学習した。

■12/13
・朝から千葉へ向かう。東京都内から千葉ってのは微妙に遠い。門前仲町から千葉の葭川公園という場所まで1時間かかった。
・千葉市美術館でやっている赤瀬川原平展を見に来たのだが、なんか分かりにくい場所にあるし、建物に入っても節電のせいなのか薄暗くてやってるんだかどうだかわからねえし、そのくせ暖房は過剰に効いてるし、なんなんですかね、あれは。

・展示内容はすごかった。ものすごい物量。千円札裁判の時の「押収品」も大量に展示されていて、有罪になっても返還されるのか、とか思った。返還された物は「違法性が認められなかった」という事なんだろうか。
・その当時の裁判所だか検察庁から来た文書に「米穀通帳」と書かれていたのが印象的。たしか1970年の文書だったけど、当時まであったのかね。
・やっぱり千円札裁判のあたりがわりと面白かった。特に「大日本零円札」の「赤瀬川原平の自宅に百円札を3枚送ると、両替されて零円札が1枚返送される」という仕組みとか。あと「bakayaro(バカヤロ)」って書いてあったり。
・「造反有理」とか書いてあって、やっぱり共産主義の影響って大きいんだなあ、とか今さら感心した。
・原稿は鉛筆書きのものとペン書きの物2点のみ展示。ペンはロットリングだろうか、細く、強弱の無い筆跡だった。ロットリングは文字を書くのに適さないと思うので、違うかも知れないが、万年筆ではないし、ボールペンとも違うように思った。
・しかし赤瀬川原平がこんなに漫画を書いていたとは知らなかった。それなりに面白いのだが、量が多すぎて全部見る時間が無いのでかなり飛ばして見た。展示されている物を全部見るには3〜4時間かかるかな、あの量では。
・トマソンは「報告書」の書式が何か役所っぽく、また今和次郎、考現学を強く意識している印象。美学校における久住昌之らのレポートも、考現学っぽい。
・ちなみに久住昌之のレポートは「新聞のテレビ欄で、エクスクラメーション・マーク(!)が付いている部分に赤丸をして分布を調べる」という物。
・ライカ同盟はよく分からなかった。
・なかなか素晴らしい展示会でありました。特に量的な規模において。

・ミュージアムショップで「文明開化の錦絵新聞」という図録を発見して即買い。芳年の絵が欲しくて買ったんだけど、芳幾という人の絵も良い。あー、錦絵新聞というのは、明治時代、写真の無い時代に浮世絵で世間のニュースを報じた新聞の事です。芳年の無惨絵なんか好きな手合いにとっては、かなり魅力的な一冊。芳年は人気あるから本もたくさん出てるけど、僕の記憶では新聞に描いた絵ってあんまり見た記憶が無い。
・あとでAmazonで調べたら1万円近い値段が付いてた。やっぱり図録系は見かけたら買っておかないとなあ。

・千葉みなと経由で幕張のニューオータニへ。高橋邦弘の蕎麦会に臨む。前菜はどうということなし。フォアグラの粕漬けってのが趣向として少し面白いと思ったくらい。
・そして蕎麦。正直「ま、こんなもんか」と感じた。蕎麦の香りという点では「調子のいい時の室町砂場」と同等。ただかなり歯ごたえが強い。しっかりした蕎麦で、すすった後、よく噛んで食べる感じ。あ、昨夜は風邪薬を飲んで寝たので風邪は小康状態。今日はむせることはなかった。で、この歯ごたえは落語「時そば」で「ポキポキするような感じ」というそういう事なのかな、などと思う。
・つゆには大きな特徴なし。悪いところもないが、並木藪のようなユニークさもない。もちろん奇をてらう必要などなく、これはこれで良い。
・蕎麦は2枚出てくるので、二枚目には薬味(大根おろし、山葵、葱)を加えて食べてみる。因みに七味唐辛子はなし。薬味にはあまり感心しなかった。大根おろしはもっと辛い方が良いし、山葵には甘みが足りない。葱はさらし方が不十分だと思った。薬味は品川の「しながわ翁」の方が良い。

・個人的には砂場の、都会的で華奢で上品な蕎麦の方が好きだが、高橋邦弘の蕎麦は質実剛健系で、これも確かに魅力的だ。
・以前も書いたけど、砂場レベルの蕎麦屋に行ってもハズレの時ってのがある。蕎麦自体がうまくないとか、最悪は伸びた蕎麦が出てくるとか。高橋邦弘はあのレベルの蕎麦をコンスタントに出しているのだろうか。だとしたら日本一の蕎麦職人と言って良いと思う。出張先であのレベルの物を出すと言うことは、コンスタントにうまい蕎麦を打ち続けているんだろうと予想する。
・デザートが汁粉とアイス。汁粉が鬼のように甘い。こんな甘めぇもんが食えるか!と残す。
・上記のメニューで、お酒を1杯だけ飲んでお会計が税サ込み8,000円弱。ドシンと来る金額であった。しかし高橋邦弘の蕎麦を一度は食べてみたい、という願いが叶ったので、本望である。

・東京に出て秋葉原・体育倉庫に立ち寄り、歌舞伎座で中村米吉の舞台写真を買い求める。先月の出番は三番叟の千歳のみ。舞台写真は1枚だけ。

・その後、高田馬場経由で沼袋の寿司屋「中乃見家」へ。ここは快楽亭ブラック師匠お気に入りの寿司屋で、廉くてうまいから是非行くように言われていたのだ。
・中トロ、かんぱち、平目の昆布締め、車海老(ゆでたもの)、うに、いくら、たいらぎ、赤貝、かに(ほぐし身)こんなもんだったかな。1〜2品抜けてるかも知れない。すべて一貫ずつ出てくる。タレみたいなのがついてるので醤油は不要。
・小肌、まぐろ赤身、青柳、あなご、中トロを追加して、お会計は約6,500円(お酒は飲まず)たしかに廉い。
・まぐろは確かにしっかりしている。中トロはもちろん、赤身も非常にスムーズで、口の中で溶ける感じがある。切り方が独特だった。まぐろには白いスジがありますね、一般的な寿司では、切った断面にスジが並んでいたりするわけですが、ここの鮪にはスジがない。というのは、スジに沿って、そぎ切りにしてるわけです。こういうのは今まで見た記憶がないな。良い店ではこうやってるのかな。
・カンパチが変。変って、血合いの部分が取り除いてあるので「え?これカンパチ?」と思う。臭みもないし、脂っこくもない。こんなスマートなカンパチは初めてで、不思議だった。
・特にうまいと感心したのが、たいらぎと青柳。たいらぎなんてうまくも何ともない屁みたいな貝だと思ってたんだけど、ここのはうまい。青柳もオレンジじゃなくて白っぽく、どうかと思ったがしっかりうまい。これで6,500円ってのは確かにお値打ちかも。ただ店内の雰囲気がねえ、不潔とかってことはないけど、思いっきり「ダサ寿司屋」なんですよねえ、町のどこにでもある「決してうまくない寿司屋」という感じなんです。テレビなんかついてるしねえ。雰囲気も合わせて料理の味なので、どうだろうなあ、そこが気になるなあ。あと、出てくるのが早くて滞在時間30分だったので、次に行ったら「ゆっくり出してください」って言わなきゃ。

・帰途、BigHornに寄り、すぐ帰るつもりが25時頃まで飲む。お勘定も結構行った。

■12/14
・東京駅のコインロッカーに荷物を放り込んで、将門塚にお参りしてから半蔵門・国立劇場へ。コインロッカーにゴミが入ってて「バカヤロー」と思ったんだけど、考えてみると今、駅のゴミ箱ってのが無くなってるから、捨てるとこが無いんだよね。気持ちは分かる。

・出し物は「伊賀越道中双六」この演目と言えば「沼津」だが、今回は沼津をやらず、代わりに歌舞伎ではほとんど上演されない「岡崎」をやる。
・正直言って、中村吉右衛門が全然良くない。お疲れなのか知らんけど、どうも気合いが入っていない感じ。秋に見た「尼ヶ崎閑居」で見た時の迫力からすると、全然。主演の吉右衛門がイマイチなので、物語の「縦糸」がしっかり通っていないというか、芯がドッシリしていないというか。
・吉右衛門の女房役の芝雀が良い。また、吉右衛門が良くない分、相対的に歌六に迫力があって良く見える。菊之助は無難だが、特に見せ場もなく、さらっと流れる感じ。又五郎の奴助平、この人こういう道化役は得意だったはずなんだけど、又五郎襲名公演を経て、芸も堅くなったのかなあ、という印象。
・「岡崎」が最重要の幕になるんだけど、子殺しの説得力が全くなくて、例えば「先代萩」「千本桜」のような悲哀とか葛藤とか、そういうのが全然感じられない。「簡単に赤ん坊殺しやがって!」という怒りみたいなのしか感じない。あれじゃ泣けない。話を前後させ、子殺しの後に吉右衛門・芝雀の出会いがあれば泣けたと思う。あの本・あの演出では泣けませんよ。「仇討ちの決意を見せるために実の子を刺し殺す」って、いくらなんでも説得力が無いよ。文楽ではどう演ってるんだろう。

・中村米吉は菊之助に一目惚れする田舎娘(お袖)の役で、以前「天竺徳兵衛新噺」で演じたおまきに似た役どころ。こういう役は、若くて可愛い米吉にはうってつけであり、ファンとしては萌え死ぬ感じである。失礼な言い方だけど、いわゆる「難しい役」ではないと思うので、米吉も素で演じてる感じがして安心して見られる。
・さらに、ここのところ米吉はお姫様を演じることが多かったのだけど、今回は庶民の娘なのでファン必見なのである。というのは、お姫様は手を着物の中に入れ、着物の裾を引きずっているので足も見えない。それが今回は生足に下駄だし、綺麗な手も見える。女形の足の指ってのがまた官能的なんだ。そうやって、おじさんの性的倒錯がますます促進されるのである。
・そして米吉は最後の出番で、日本髪をほどき髪を下ろして出てくるんだけど、これが実在の女性に似ていて「ほぅ」と思った。その女性というのは、とある新聞社のカメラマンなんだけど、あまりに可愛いのでツーショットを撮ってもらったくらい。その子も垂れ目+下ぶくれで、やっぱり米吉の演じる女性は、僕の好みズッポシなんだなあ、と納得した。
・しかし、そんな魅力満載の米吉は私の席からはほとんど見えず。今回は下手の端っこだったんだけど、米吉は芝居中、ほとんど上手側を見ている。その上、三幕目では舞台装置にさえぎられて米吉ほとんど見えず。この敗北感はすごい。なんたることだ!(というわけで、今度は上手側の席を押さえ、もう一度見に行くことにしました)

・その他気付いたこと。三幕目は雪のシーンなんだけど、ここでは出演者が履く下駄の歯に、布か綿が貼ってある模様。つまり、歩く時に音が出ないようになってるわけね。それぞれの役ごとに、雪の中を歩く歩き方が違って、見ていて面白かった。
・終演後、東京駅でシウマイ弁当を2個買って帰宅。1個は嫁への土産。
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