2015年01月26日

歌舞伎「南総里見八犬伝」「御所五郎蔵」「新春浅草歌舞伎・昼」感想

Pop is dead.■1/23
・てんやで天ぷら定食を食べようと思ったが、門仲に着いたのがラストオーダー時間過ぎだったので諦め、BigHornで牡蠣とブロッコリのペンネグラタン。軽く呑んで帰る。

■1/24
・門仲から九段下経由で半蔵門、国立劇場へ。今日は一日国立で芝居。

・まずは「南総里見八犬伝」冒頭、八房という犬が擬人化されて出てくる。良くない演出だねえ。怪しさを演出しようという意図なんだろうが、的外れ。犬から八犬士が生まれる、という冒頭の大事な部分を台無しにした感がある。
・その他はおおむね良好な舞台で、古典と現代的な演出のバランスが丁度良いように思えた。近年の国立劇場の通し狂言では「場面をはしょりすぎ」や、逆に「無駄な場面を入れやがって」と思うことが多々あったのだけど、今回はそれを感じなかった。前者は公演時間の都合、後者は国立の性質(文化保存の観点から、不人気で普段上演されない場面も取り入れる必要がある)によるものと理解しているんだけど、今回はその二つの均衡が取れていたように思う。

・團蔵が演る蟇六が軽すぎて良くない。萬次郎の引き立て役に過ぎない感じになってしまっているし、そうであれば萬次郎の演技にもっとクセがなくては面白くない。「さもしい浪人サモジロウ」は松緑。マズい役者だが、悪役顔なのでこういう役はまあまあ。悲劇のヒロイン浜路は梅枝。この人は達者な役者だと思うんだけど、浜路のようなオボコい感じの役だと、本領を発揮できない感じはする。しかし松緑に手を握られてハッとする表情などは生娘特有のセクシー表現(シーツをつかんでウッというのと同様)で、それなりに結構でした。あと菊之助が良いね。綺麗で品もあり、さむらい然とした風格もあり物語の中心において安定感がある。座頭が務められる役者になったなあ、と感心する(若い頃は海老蔵、松緑あたりと比べても格段に下手だったのに!)
・後半の團蔵(馬加大記)は、大悪でもなくチンピラでもない「悪の中間管理職」という感じで、これはそれなりに良かった。彦三郎は羽左衛門似で顔が良く風格があるんだけどロレツが回らない。時蔵の犬坂毛野は期待していたがいまいち。女装の剣士というかなり重要な役どころで、後半の盛り上がりに大事なんだけど、なんかサラッと演じてしまっていて、どうもねえ。菊五郎・左團次は安定。亀三郎が、良くはないけど真面目に演じてる感じがして好感が持てた。
・このように、役者一人一人について色々書きたくなるということは、それなりにそれぞれ「キャラが立っていた」という事なのかと思う。

・サンマルクカフェで時間を潰して「伝統歌舞伎保存会 研修発表会」へ。名もない役者による公演だが、かなりの客が入っている。
・これはついでの観劇であり、最後のトークで左團次が出るので面白そうだとチケットを買ったのだが、予想外に素晴らしい公演だった。
・演目は「御所五郎蔵」主役の五郎蔵が尾上音蔵、悪役の土右衛門が尾上音十郎、ヒロインの花魁皐月が尾上松男、その先輩(?)花魁の逢州が板東やゑ六という配役。全然知らない。昔で言う相中(あいちゅう)という身分に当たるんだろうか。やゑ六という人だけ見覚えがあった。
・まあみんな一生懸命やってるわけですよ。力の入り方が違う。音蔵はしゅっとしていて、キレたあとの形も綺麗だった。皐月役の松男という人は、ちょっと新派っぽい雰囲気。音十郎は台詞の合間に息を吸う鼻音が気になったが、敵役らしいいやらしさがあってこれも良い。
・中に数人、立っている時の姿勢が悪い人がいて気になったくらいで「大したもんだなあ」と感心した。
・休憩後「大喜利」と称して菊五郎以下、幹部クラスによるクイズ大会。左團次が「稽古をすればあれだけの芝居ができる。私は稽古が嫌いだが、若い頃から稽古を一生懸命していれば、今頃は天下が取れていたんじゃないか」と挨拶。終盤、同じく左團次が余興で「ろうそくターラタラ、ろうそくターラタラ、あっちいよ、あっちいよ♪」とSM舞踊を披露して爆笑(歌詞は若干違うかも)

・帰り、門前仲町のてんやで「早春天丼」を定食にして食べる。知らなかったが、てんやでは天丼を定食にすることができる(天丼の価格に180円プラス)舞茸追加、御飯おかわりでお腹いっぱい。BigHornで1杯だけ飲んで帰る。

■1/25
・門仲から日本橋で降りて東京駅に荷物を放り込み、三越前から銀座線で浅草へ。東京駅から近い三越前の入り口は半蔵門線専用だと知らずに失敗。これなら日本橋から乗った方が近かった。

・浅草公会堂で、若手のみの歌舞伎公演を見る。昼の部のみ。
・客層は宝塚とかジャニーズとかぶるような雰囲気で「歌昇君が」「みっくんが」とか「カズくんが」とかしゃべっている女の人が多い。

・最初は曽我物と七草を題材にした踊り(春調娘七種)松也・児太郎・隼人が並んで踊ると、隼人のまずさが目立つ。のぺっとして表情がない。

・「一條大蔵譚」は米吉の常磐御前が目当てだが、こういう役はまだまだ。
・源氏の頭領の元妻、という堂々とした品格・風格と、夫を失った悲しみ、女の弱さを切り替えながら演じるような難しい役どころで、つまりその落差が常磐のセクシーさ、魅力になってくるんだと思う。米吉の場合、前半鬼次カと対峙する時の風格がやっぱり足りない。そこが足りないから中盤以降とのギャップも生まれない。静御前だと可愛さで押し切れるけど、常磐御前ではそうは行かない。今後に期待。
・僕としては夜の部のお軽を米吉がやって、常磐は児太郎がやった方が正解だったんじゃないか、と思う。
・歌昇の大蔵卿、テレビでちょっと見た感じで全く期待してなかったんだけど、育ちの良さそうな、綺麗なお公家さんという雰囲気で、わりと良かった。昨年「双蝶々」を見た時にも思ったけど、この人には清潔感があるね。ただ、一方で迫力や可笑しみが足りない。特に、松也(鬼次カ)と同じ舞台に立つと、相対的に迫力不足が目立つ。大蔵卿で大事なのは迫力と可笑しみの落差なので、そういう点では全然良くない。
・赤面の悪役(八剣勘解由)は吉之助。多分遠慮してるんだろうと思うんだけど、淡泊な演技だった。もっと目立っていいのに、と思うけど、力演しちゃうと話の全体的なバランスが崩れるといえばそうだ。
・なんとなく気付いたのは、鬼次カが常磐を叩くのは弁慶・義経のパロディーだということと、「菊畑」で義経が「虎」って書いてある着物を着てるのは牛若と虎で「ウシトラ」だから、鬼(鬼一法眼)の洒落なのか、ということ

・最後は「独楽売」という踊り。米吉は芸者役だが、顔の作り方(化粧)が普段と違う。目をきつめにしているので、正直、この人の顔の良さが損なわれている(昨年明治座でやった鳥追いの顔に近い)夜の部でも芸者を踊るんだけど、舞台写真で見た限りでは昼・夜で顔が違う。芸者の年齢や格みたいなもので顔の作り方が違うのだろう。
・踊りは種之助が良い。体がしなやかで軽やかで、ニコニコと楽しそうに踊っている。僕は踊りはよく分からないけど、種之助は良いと思うな。まあ、贔屓目もあるけど。僕は米吉のファンだけど、純粋に役者として見た場合、今公演の役者では種之助に一番期待してるので。

・舞台写真は米吉が11枚(単独10枚、児太郎との2ショット1枚)もあって、これだけで5,500円。パンフが1,500円と廉目の設定だが、結局合計で7,000円も使ってしまう。
・今回は2階の最前列。1階席と同額で損かな、と思ったけど、ほぼ特等席と言える。
・帰り、尾張屋でかしわ南蛮を食べようと思ったら満員だったので、やめて帰宅
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