2016年02月23日

東洋風アルファベット、その名も「ワンタン・フォント」

Pop is dead.・日本語の英語表記なんかで「くさび型の線を組み合わせてアルファベットを書く」というフォントスタイルがありますね。あれはいつ頃から使われ始めた物なんだろう?と思った。
・というのはTwitterでこういう画像を見つけて、これは1916年の早川雪洲の映画ポスターのようだけど、100年前から使われてたのか!と思ったからです(SESSUE HAYAKAWA と TSURU AOKI という日本人の名前だけが、くさび型アルファベットになっています)

・他に使用例はないかと見てみると、1904年に初演された「蝶々夫人」のポスターにも、似たような特徴を持つ文字が使われていました。こちらには両側に竜の絵が描いてあったり、中国と日本との混同が見られます。オリエンタリズムを表現する書体として使われていたということで、特別に日本のイメージではないということでしょう。
・では中国を舞台にしたオペラであればどうかと思って、蝶々夫人と同じプッチーニの作「トゥーランドット(1926年初演)」のポスターを検索してみましたが、そちらには「くさび型アルファベット」を使った物を見つけることは出来ませんでした。

・さて、その起源を想像してみると「くさび形文字」というのは古代アジアで使われた文字だから、欧米人のイメージでは「アジアっぽい=くさび型文字」だと思って、ああいうレタリングを施したのだろうか。しかし、くさび形文字を使っていたのはアジアと言ってもメソポタミアとか、そっちのつまり今のイランとかあの辺りでしょう。欧米人が中国と日本を混同するのは分かるとしても、ヨーロッパとも比較的近い中東地域(南アジア)と、日本のような極東アジアを混同する程は、いくらなんでも大雑把ではあるまいか。
・そう考えてみると、これは「くさび型」ではなくて「毛筆風のアルファベット」なのではないか、とも思えてきたわけですが、私の感覚としては「毛筆の筆致をイメージした」と言うにはあまりに単純で、しっくりこない。
・しかし確かに毛筆っぽいのかなあ、もしかしたら日本や中国と欧米諸国とでやりとりされた公文書なんかに「東洋人が書いたアルファベット」として似たものがあったりするんかいな、と思いましたが、それも見つけることは出来ませんでした。

・すっきりしないなあ、と思っていると、親切にもTwitterであさひやさん( @asahiy )という方が代わりに調べて教えてくれました。有り難い。
@LSTYpt2 気になって調べたんだけど Wonton font <リンク> っていうみたい。 <リンク> 差別的なフォントであるのは自覚してる様子ですね。
・リンクしてもらったWikipediaのページを見てみました。
・「雲呑フォント」と言うのか!
・曰く、別名「チャイニーズ・フォント」「チョップスティック・フォント」「チャプスイ・フォント」とある。やはり中国のイメージか。
Styled to mimic the brush strokes used in Chinese characters,
・とある通り、漢字を書く時の毛筆の筆致を模しているということで、つまりやはり欧米人には毛筆による文字はああいう風に見えるわけですね。
・で、アジア系の人種に対して差別的に使われる場合がある、とか書いてあるけれど、この文字の成り立ちについては書かれていない。何となく推測されるのは、ここで触れられている「19世紀末から20世紀にかけての黄禍論」の頃、つまり黄色人種が欧米において存在感を増してきた頃に作り出され、広まったのではないかなあということくらい

・起源というか、広まった経緯についてはこちらのwebサイトで触れられていました。
Apparently the type (中略) became popular when used in a poster aimed at attracting tourists to San Francisco Chinatown after the 1906 earthquake.
・1906年にサンフランシスコで地震があって、恐らく観光客が減ったんでしょう。同地にあるチャイナタウンの客も減った。その観光客を呼び戻そうというポスターに、こういう文字を使って、そこから広まったらしい、というのですね。
・「蝶々夫人」が1904年にイタリアで初演だから、以前から欧米にそういう書体はあったけれど、広まったのは1906年以降のアメリカから、ということですかね。

・はっきりとした起源は分かりませんが、なんとなく現状分かっている事を、まとめておきます。
(因みに私個人としてはこのフォント「アメリカで制作された日本人が出演しているAV」のイメージが強いです)
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