2016年06月29日

6/24-27日記(碇知盛・鮨屋・小笹寿し・まんてん鮨)

Pop is dead.■6/24
・門前仲町BigHornで海老とレモンとパクチーのピザ。2時過ぎまで飲む。

■6/25
・朝食後、歌舞伎座へ。まずは渡海屋・大物浦。いわゆる「イカリ知盛」として知られる定番の演目だが、たぶん初めて見る。渡海屋の旦那実ハ平知盛が染五郎。北前船の貿易商という設定で、アイヌの民族衣装柄の着物で登場する。

・右近の息子がデビューということで安徳帝。かわいいししっかりしている。團子と二人で伽羅先代萩(伊達の十役)に出て欲しい。先程テレビでも放映された玉三郎の先代萩は、悪いが子役が不細工すぎて残念だった。不細工というか、歌舞伎向きの顔じゃないというか。あの芝居は子役がそれなりにかわいくないと成立しない。右近の息子と團子であれば鉄板だろう。
・大物浦は、女官が海上の戦を座敷から観戦するというのが貴族的というか呑気で面白かった。染五郎の知盛は、悪くはないが迫力に欠ける。渾身の演技という感じがしない。2年前だかに見た「伊達の十役」大詰における仁木弾正の迫力が凄くて、染五郎の重い役を見る時にはあれが基準になる。あの時は染五郎が一人だけの座頭で大詰だったが、今回はそうではないので、力を加減しているのだろう。期待が過剰だった。力を抜くんだったら右近の知盛にして、染五郎は義経でもやってればいいのに。
・幕間は近くのサブウェイ。ローストビーフのサラダにアボカドトッピング、山葵醤油。スープを付けて1,000円は高い。
・その後面白くもない踊りがあり、寝て過ごす。舞台上の急傾斜で魁春が転ばないか心配だった。

・入替で一旦出てから戻ると一部・二部通しの若い女の子が居た。松也ファンだな。
・次が幸四郎の鮨屋。前段の「木の実・小金吾討死」から。小金吾の松也はきれいだし破綻もないんだけど、クセがなさ過ぎて面白みもない。不知火検校の時の役程ひどくはなかったが、今回もあまりどうということなし。まあこの人は下手ではないし、徐々にうまくなるでしょう。
・幸四郎は木の実で見せる情がいいし、鮨屋でもうまく泣かせる。期待通りではあるけれど、梶原との場面までに親子・夫婦の情の部分を強調しすぎて良くない気もする。というのは、梶原に妻・子供を引き渡した時が「泣かせ」のピークで、それと比べて刺されてからの演技が淡泊に過ぎるのです。本来の山場は刺されてからの告白なのだけど、そうなってない。これは例えば鮨屋の歴史的名舞台と比べてどうなんだろう。以前からこういう重心の置き方の芝居だったのだろうか。僕はたぶん1986年に菊五郎のいがみの権太で見てると思うんだけど、こんな感じだったんだろうか。あとやっぱり幸四郎の演技は、こういう演目だと臭いね。嫌いな人は嫌いだろうな。
・染五郎の維盛は期待通りで、こういう役は無難。秀太郎の小せん、こういう歳の人にこういう役をやらせるべきではないというのが私の主張。猿之助は第三部で座頭だが、一部・二部でもしっかり力を入れていて偉い。ただこの人の女形は、泣き顔が笑っているように見えてしまう。
・今回、悪くもなかったが重めの時代物を見てずしんと来る感じがなく、どうも中途半端。

・終演後、小笹寿しへ。伊丹十三が通った店ということで行きたいと思いつつ値段が値段だしと悩んでいたところ、食通の知り合いから「行け」と勧められたので意を決して足を運ぶ。うまいまずい以前に「狭い!」出てきた寿司はすべてうまかった。音楽アルバムのほめ言葉に「捨て曲なし!」という嘘全開の一言があるが、この寿司屋に関しては真実「マズネタなし!」と言える。全てのねたに、いわゆる「仕事」がしてある。寿司、刺身というのは断じて「生魚」ではない、という主張が込められている。
・玉子焼きが出てこないのも良かった。職人が本当に客をよく観察していて「この客には次、これを出す」というのを、絶妙に判断してるんですね。こういうのは、寿司みたいな料理の真骨頂なんだろうなあ。仕込みや握りの技術も重要だけど、こういう人間観察の技というのも寿司職人の重要な要素で、やっぱりこれこそが客を「この店に行きたい」と思わせる部分なのかもなあ、と思う。そしてこれは、お好みでコレコレを、というんではなく「おまかせ」じゃないと味わえないものですね。
・ひとつだけ難点を言うと、穴子がねえ、不味いというのではなく、ダラリと長い穴子の寿司、というものが私は好きじゃなくて、しかもそれがご丁寧に二貫。これをシメに出されると、さすがに「ウッ」となりますね。味は美味しいんですがね。海老もデカ過ぎたかな。巨大な海老で寿司飯をつつんだお稲荷さんみたいな感じだった。味噌まで入っていて濃厚な味なのには感心したが、これもサイズの問題

・一人の寿司ってのはせいぜい1時間。時間も早いので門前仲町のオーパへ。西瓜のソルティドッグ、ギブソン。その後BigHornに行き、長居。結局また2時過ぎまで居たか?

■6/26
・朝食後、牛込神楽坂へ。約束の1時間前に着いてしまう。足を悪くして、医者からはあまり歩くなと言われているのだが、仕方ないので神楽坂周辺の坂道をブラブラ。宮城道雄記念館は日曜休館、なんだよそれ!
・1時間後、Sの自乗さんと梅香へ。前菜(豚耳・蒸鶏・冬瓜)、ピータン、じゃがいもの腐乳炒め、陳麻婆豆腐、いんげんの漬物炒め、辛味噌チャーハン、海老そば。ピータンうまかったな。Sさんも満足してくれたようで良かったが、昼食べると高いのと、いわゆる「中華!」という主張の弱い淡麗四川料理なので、芸術性が高い分、どうも位置づけが難しいな、と思う。次回はもっと辛い系メインで攻めてみるか。

・銀座ヴァニラ画像でシリアルキラー展なるものが開催されていると知り、足を向けるが90分待ちとのことで取りやめ、伊東屋へ。
・中屋万年筆フェアをやっているということで見に行ったのだが、万年筆メーカーの人間って何であんなに無愛想なのかね。職人ってのはああいうものなのか、しかしそれなら接客要員が客と職人の間に入って潤滑油になって欲しい。と文句を言いながらも1本発注

・靴下が不足していたのでファミリーマートで無印のを買う。ここで感動したのは、無印の靴下って「留めてない」のね。靴下って、金属製の「小さい毛抜き」みたいなもので留めてあるでしょ、あれならまだいいが、僕が嫌いなのは白いプラスチックの「エ」の字みたいなので留めてあるやつ。あれ、はさみがないと取れないんですね。あれが嫌いなんだけど、無印の靴下は留めてない。旅先で買う人も多いわけだから当然の仕様ですね。しかしこういう「当然の仕様」に思いの至らないメーカーもまた多いわけで、無印は偉い。
・いったん戻りBSで18時からの真田丸を見てから丸の内へ。

・夕食は二重橋前の「まんてん鮨」母に勧められた店。二重橋前なんて初めて降りたような気がする。ホーム南側のエスカレーターが異様な音を立てて動いていた。
・まんてん鮨が入っているビルはオシャレな商業施設で、その地下に店がある。その外観が「一目見てまずいと分かる店」なのです。人に薦められなければ入らない。寿司の写真が大きなパネルになってライティングされているなんていう店、うまいと思います?
・しかし満席。料理は6,000円の「おまかせ」のみ。刺身から始まって途中ちょっとした椀物等々を交えて量は十分、というか多すぎるくらい。そしてうまい。これは十分なうまさだ。しかもちゃんとネタに「仕事がしてある」つまりただの「回らない寿司屋」じゃない、まともな店だ。うーむ、僕にはここで十分だなあ。6,000円でこのレベルの寿司が食べられれば文句のつけ様はあるまい。
・難点は客層が若く店内が騒々しいこと、燗酒を頼むとこれ以上にないというくらい醜悪な酒器で出てくること。あとやはりこの値段なのでさすがに「マズネタなし!」とは言えない。1品だけ、まずくて食えないものがあった。あと職人がやたら符牒を使うのも、あまり好ましくない。「ピン、リャン、ゲタ、ダリ」とか常時飛び交ってる。まあこれは店の演出でもあるんだろうけど、上品ではないね。
・いやしかしこの店は十分な店ですよ。しかも6,000円は税別だけどサービス料も取らない、本当に6,000円。ちょっとビックリするね。

・帰って小林賢太郎TV8見て、難民に関する海外の討論番組を見て寝る。小林賢太郎の笑いはいかにも「頭で考えて作った笑い」という感じが出ていて、やはり好きになれない。

■6/27
・二日酔いで朝食は食べず。銀座八丁目のフレッシュネスバーガーでオニオンリングとビールで時間を潰した後、ヴァニラ画廊「シリアルキラー展」へ。開場前から列が出来ていた。ジョンゲイシーのピエロの絵以外、特に見る物なし。一点、ずいぶんポップな色彩で着衣女性の半身を描いたものがあったが、誰が描いたものかは忘れた。
・どうもアメリカでは、犯罪者が獄中で絵を描いてそれを売るというのがビジネスとして成立しているようで、つまりこれらの作品は犯行後・逮捕後の制作ということになる。そして言わば「売り絵」である。一部、逮捕前に制作されたものがあったかな、犯行の証拠になった絵、というのがあったような気がするな。個人的にはそういう絵にしか興味が持てない。それ以外に、絵として興味が持てるのはゲイシーの作品と前述の1枚のみ
・しかし犯人の所持品、遺品なんかもあって面白かった。図録と展示品リストがないのが残念。あれば相当価値のある物になったろう。あ、図録と言えば村上隆の図録がそろそろできる頃か?

・新橋から帰る。ドンキホーテのあたりは中国人観光客の集合場所になっているようだ。昨日は人権活動家らしい人が天安門事件がどうこうとかいうパネルを持って立っていた。
・昼を食べていなかったので、名古屋の和久傳で軽く。ここでは燗酒を頼むと猪口は九谷、徳利は信楽、いやこれは伊賀焼か。取り合わせが変ではあるが、酒というのはこういう器で出してもらわないと困るのだよ、まんてん鮨さん。蓮芋と鯵の薬味和え、夏野菜と水無月豆腐、鮎御飯、赤出汁。これにお酒でちょうど3,000円。ま、こんなもんでしょう。しかし和久傳は京都の店なのに鮎がダメだな。さすがに本店ではちゃんとした物を出してるんだろうが。
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