2017年02月01日

豆州および遠州紀行・外伝

Pop is dead.・旅行記の本編は書き終えたが、それに関連する細々としたことを随分端折ったので、ここに記録しておく。

■1/26
・銀座の寿司屋の客というのは「老人と若い女性」という組み合わせが多いように見える。女性は水商売ではなく、堅気で聡明そうに見える美人が多い。また一方で老人の性的な欲望や虚栄心などを理解した上で「そういう理由でこの店で御馳走してもらっている」ことを理解しているといった、女の狡猾さも強く感じる。村上龍の「オーディション」を思わせる感じで、少し恐い。

・歌舞伎「義賢最後」@新橋演舞場、中村米吉のお姫様は相変わらず可愛いのだけれど、泣き崩れるようなシーンで二重あごに見えるのが興をそぐ。丸みのある顔立ちはこの役者の良いところだが。

・口上は見なくてもいいので飛ばして、ゆっくりYOUのオムライスでも食べに行こうかと思ったが、途上にゆで太郎があり、薬味そばの扱いがあったのでそちらに入る(薬味そばはゆで太郎全店にあるわけではないようなのだ)初めて食べたが、天かすが邪魔。今度は天かす抜きで頼もう。食事を立ち食いにしたので演舞場に帰り、口上も見る。

・歌舞伎舞踊「黒塚」は生では初めて見たが、実に不可解な演目だった。概ねの感想はここの方に同調するのだけれど、そもそも仏教の考え方に合致した内容なのだろうか?
・序盤で阿闍梨は「仏教では鬼神でも許される」というようなことを言っていたように思うのだけれど、しかし老婆が実際に鬼神だと分かるやいなや態度を変え、調伏しにかかる。見た感じでは「老婆を成仏させる」といった祈りではなく「鬼女を退治する」ための祈りだ。
・この演目の解釈として「鬼女は最初から阿闍梨を食べようとしていたのではないか?」というのがあるようだけど、そういう疑念を持つような人間や人間社会に対して鬼女は怒ったのだと思う。罪人(つみびと)だが救いを求める老婆、その老婆が鬼だと分かった途端態度を変える聖人と、その不実ぶりに牙をむき、最終的に調伏される鬼。ものすごい悲劇性だと思う。

■1/27
・伊豆急の踊り子号は「21世紀にこんな車両が走っているのか」と感じるような極めて古い車両だった。いいかげん車両を入れ替えろよ。

・松崎は温泉があるものの、観光資源的にもほとんど何もない町で、長八美術館や古い商家なども500m四方くらいの狭い区域にあるだけで、他は海くらいか。帰宅して映画「つぐみ」を見返してみると昔は観光船が松崎港まで来ていたらしいが、とてもそんなに人が呼べるような町ではない。観光マップでは結構広く見える道でも、実際には人が行き違える程度の幅しかなかったりする。ここらへん全てが、私には好ましく思えた。

・松崎のケーキ屋で買ったクッキーは、帰って食べてみると極めて手作り感の強いものだった。硬めで持ち重りがし、甘みが極端に抑えられている。不味くはないのだが、プロが作った感じがしない。例えば、女子高生がバレンタイン用に自宅で作ったホームメイドクッキーといった印象である。そういうわけで「JKが俺用に焼いてくれたクッキー」だと妄想して食べると良い。因みにお茶(生茶)と合う。
・ここのケーキ屋で「ここは『つぐみ』で映ったお店ですか?」と何となく訊いてみた。違うらしいのだが、店の奥の人に訊いてくれたり「そこの役場に行けば分かる」と妙に協力的だ。町ぐるみで映画撮影を誘致しているという事だろう。

・スーパーマーケットに寄ってみたが、魚類が豊富で発泡スチロールの大きなケースで売られている。いるかの切り身があり、こっちでも食べるのかと思う。山光荘のおかみさんに訊いてみると「うちでは食べない」という事だった。同じくおかみさんによると、こっちでは干物にしたいるかを食べるようだと言う。生の切り身は珍しいような口ぶりだった。

・どういうわけだか旅に出るとエロ本が買いたくなることがある。今回も購入。さらにKindleでみやすのんきや遊人の作品をダウンロードしたり、DMMプレイヤーでエロ動画をストリーミングしていたら帯域制限に遭った。
・ついでに各種アプリケーションについての感想
・Kindle(iPhoneアプリ):読み放題だと10冊までしかダウンロード出来ない。それは良いんだけど「あとで読む」的な登録機能がないので、はっきり言って使えない。端末に保存出来る本の数は制限しても良いが、本棚に登録できる(実際に読む時にあらためてダウンロードする)数は無制限にするか、少なくとも30冊くらいは枠がないと厳しい。そういう制限があるので、いちいちブックブラウザ(検索画面)を開いて本を探す必要があるのだが、この検索画面がいちいちリセットされてしまい、さっき見ていた検索結果が保存されない。
・i文庫s:何年か前から常時使っているiPhoneアプリ。作家で検索して本を登録する時、その作家の全作品を登録することが出来る。しかし自動的に全作品が登録されてしまい、選択して登録が出来ないように見えた(認識違いかも)あと登録するだけでダウンロードはしてくれないので、開く時にいちいちダウンロードする必要がある=登録してあってもオフラインでは読めない。
・DMMプレーヤー:プレーヤーとしてはそんなに文句はないんだけど、一覧表示ではなくジャケット表示にした場合HDかどうかが分からない。あと最大の難点はプレイヤーからDMMの検索・購入画面に飛ばないので、safariなりから動画を買ってまたプレーヤーに戻る必要がある。さらにどういうわけだかDMMのサイトはiPhoneからアクセスするとID/PASSを記録しないので(私の設定の問題なのだろうか「保存」にチェックを入れても次にアクセスした時には消えている)あとPCのDMMプレーヤーでは動画に任意でチャプターが設定出来るんだけど、iPhone版では出来ない。非常に便利な機能なので実装して欲しい。

・山光荘は宿としては下。特に料理が不味いのと、仲居さんがノックも挨拶もせずに部屋に出入りすることはかなりのマイナスポイント。長八の作品やつげ義春ファンなら楽しめるものの、できれば素泊まりにして食事は外で食べた方が良かろう(じゃらんの情報を見た限りでは素泊まりのプランはないようだが)ただおかみさんは魅力的で、行くならこの人が元気なうちに行っておくべきかも。

■1/28
・入江長八の墓があるらしい寺は「入江家の墓」だらけで、どれが長八の墓か分からない。地形が入江だから入江家ばかりなのだ。さて墓の横の土手には貝が捨ててあり貝塚かと思ったら大量の茶碗のかけらも捨ててある。茶碗塚。

・松崎から土肥に至るバスからの絶景については本編で触れたが、途中の田舎町で、駄菓子屋だか文具店だかの店先にコスモスのガチャガチャが見えた。あの赤いのはコスモスのものに違いない(100円の自販機型のやつではなくてガチャガチャ)

・浜松駅に着いてから、昨日のエロD/Lによる帯域制限の不自由さに気付く。地図が使えないのだ。地図画像がダウンロードされないので、矢印が表示されるだけで自分が今どこに居るのか、目的地がどっちか分からない。ホテルの場所は事前に確認していたので辿り着けたが、食事場所の料亭が分からない。しばらくぶりに人に道を尋ねた。あと、乗り換え案内も天気予報も使えない。ちょっとしたサービスなんだけど画像をはじめ、かなりリッチな作りになっているのだ。
・そんな時でもTwitterは、画像さえ添付しなければなんとか使える。さすが、災害時に役立つと言われるだけある。通信速度が上がるにつれてコンテンツの内容がリッチになるのは当然の理だと思うが、しかしこういう時に「見た目は貧相だが通信環境が貧弱でも最低限の情報が確認出来るアプリ」があると良い、というかあるべきだと思う。国が作って非常時用に配布するべきじゃないのかね。
・因みにDMMプレイヤーで端末にダウンロードした動画を見ようとしても、ジャケット画像はアプリを開いた時にいちいちサーバからダウンロードするようで、開くのに時間がかかる。こういうのはプログラマのセンスの問題かな。

・浜松の高級文具店として有名なブングボックスによるが、改装とやらで今日は早じまいだ、と追い出される。その応対に険を感じた。有名な店なので遠い地方から来る客もあろうに、自分の都合で店を閉めて初見の客を追い出すようでは、万年筆を商うような店としては不適格でしょう。二度と行かねえ。
・一方、土産を買いに行った「うなぎパイ」の春華堂は、過剰な接客だった。3,000円あまりの菓子を買っただけで「お荷物は出口までお持ちします」って、なんかすごい。ちなみに「うなぎパイはナッツ入りが一番うまい」が私の持論です。栗が入った「くりくり」というお菓子はパサパサしててあんまりおいしくなかった。プランデーかラム酒を一垂らしするとちょうど良いかも。「しらすパイ(辛口)」はつまみ用に買ったが、表面にかかった甘いシロップは蛇足

・すっぽんを食べた浜松の料亭「繁松」入る時にはスリッパが出るが、2Fから帰る時には「階段が滑りやすいので」とスリッパなしという不思議。あと下足札がチープで良かったのと、なぜか廊下に給水器がある事が気になった。あの、透明のタンクが上にあって冷水と温水が入る最近よく見る給水器、あれが廊下にある。どういう意味なのか。

■1/29
・楽器博物館については画像を上げようかと思ったが、撮影した写真の枚数が多く面倒くさいのでやめておく。

・浜松駅の立ち食い蕎麦「ふぐ天そば」はゾクゾクする不味さだったが、あの天ぷらに入ったグルテンのような「正体不明のグニグニ」は私のソウルフード、姫路名物「まねきのえきそば」と同じ。あれは立ち食い蕎麦業界では一般的な「なにか」なのだろうか。

・強迫観念の強いたちなので新幹線は指定席にばかり乗っているが、今回は清水-浜松間、浜松-名古屋間で自由席に乗る。ガラガラの自由席は指定席より快適。A・B・C席を独占して、荷物が置ける快適さ。
・これが指定席ならどうか。例えば自分がC席に座っていて、A席に別の客があり、B席が空いているとしましょう。この時、B席に荷物が置けるか?私には置けませんね。Cは確かに私の席、Aは確かにあなたの席だが、Bは誰のものでもない、マージナル、グレーゾーンなのです。そこを無遠慮に占拠する勇気は、私にはない。さらにA席も空いていて、C席に私だけだとしたらどうか。それでも「誰か来るかも知れない」ということが気になってしまい、B席に荷物を置くのは躊躇する。
・その点、自由席は空いてさえいればやりたい放題、まさに「自由」なのであって、指定席は言わば「不自由席」なのだと気付いた次第

・帰宅後、さっそく映画「つぐみ」を見直す。「つぐみ」が松崎ロケーションだということは旅立つ前から知っていたが、旅行の予習として映画を見るというのは野暮な気がして、DVDも再見せずに放っておいたのだ。冒頭近く、松崎港が出てくるシーンから泣きそうになる、というか泣く。牧瀬里穂の演技、中嶋朋子にひっぱたかれた後の表情なんか素晴らしい。
・奥さんに、今まで景色になんか感動しなかったのに、西伊豆の岬や富士山を見て感動したことを告げると「それはあなたが歳を取ったからだ」と言われる。そういうものなのかも知れない。

posted by LSTY | Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行 | このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク
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