2017年02月11日

城崎温泉一人旅行記(二日目)

Pop is dead.6年前の旅行記の続き

■2011/9/6
 4時過ぎに起きる。何もする事のない休日程、早く起きられる。だから老人は早起きなのだ。さて、目は覚めたが外湯が開くのは概ね7時である。手持無沙汰でダラダラするが、宿の内湯が6時に開くと知り、6時丁度に押し掛ける。その後、御所之湯へ。

 宿の下駄を借りて表へ出るが、3分も歩かないうちに鼻緒がくいこむ。元来、私は下駄サンダルの類が苦手で、履くと必ず指や足の甲をすりむく。
 歩き乍ら私は、以前城崎に来た時のことを思い出した。ほぼ30年前だ。家族旅行で、冬に来たんだった。父に連れられて外湯を巡ったのだが、私にはそれが苦痛だった。そうだ、あの時慣れない下駄でアチコチ連れ回されるのが嫌だったのだ。足は痛い。しかも、その時は雪が降っていた。私も冬の情緒は好むが、雪ってのは家の中から眺めるものだと思っている。寒いのはごめんだ。その、雪の中を下駄履きで歩く。これは、当時の私には苦痛であった。外湯は当時いくつあったか、おそらく五、六はあったろう。父はすべてまわる気だったろうが、私は「もうこれ以上、行きたくない」と言った憶えがある。いや、口に出して言ったかどうかは定かではないが、そう思ったことは確かだ。
 そういう記憶が、下駄ばきの3分からよみがえってきた。

 ふたっ風呂浴びた後の朝食はおいしい。夕食はひどかったが、朝食は平均点。つまり朝食と夕食を同じテンションで作っているのだ、この宿は。普通は夜のほうに気合い入れるでしょ、それがない。
 8時くらいから宿の庭に何人か職人が入って手入れをしている。その音を聞きつつ、宿を出る。今日一日は丸のまま暇、豪華、尾頭付きのヒマな時間である。

 とりあえず、名所である玄武洞まで歩くことにする。歩く道沿いに広い川が流れていて、四方に山。歩けども絶景。台風の所為だろうが、田畑用の側溝が所々ドロだらけになっている。大きな川も濁っている。
 玄武洞の2キロほど手前に見事なガケ。これはすごいと見上げた後、ふと目を落とすと、道のわきに怪しいものが捨ててある。よく見ると、男根にゼンマイ式の足がついていてピョコピョコ跳ねるセクシー・ジョークグッズである。何故こんなものを買ったのか、そしてなぜ、こんな所に捨てたのか。
 そんな物を発見してしまったため、絶景よりも路上のごみが気になって仕方がない。下を向いて歩いていると、ここいらには蟹が多い。道路の溝に無数の川蟹が居り、折を見ては道を横切って川から山のほうに渡るようだ。アスファルトの上にはつぶされた蟹の死骸がいくつもこびりつている。
 途上、廃墟となったラブホテルを発見。「全室使用中」と表示されているが、もちろん人気はない。霊気もない。

 さて、1時間あまりかけて玄武洞に着く。先ほど見たガケを、もっとエンタテインメント化したような、すごい断崖。巨大な石の結晶。見上げていると、遠近感を失い、目まいがする。ロスト・ディメンション・ガケ!VERTIGO崖!そういえば僕は、高い所から下を見てもめまいしないな。こういうの見上げた方がクラクラする。
 ひとしきり感動したあと、バンドエイドを買いにJRで豊岡に行こうと思うが、最寄駅は大きな川を隔てた向こうである。さあどうする、と思っていると玄武洞の売店が渡し舟を出していると言う。渡し賃300円を払い、しかし舟が出るまで1時間もあるので店を一回り。しかしなんとカスハガがない!というか絵ハガキが一種類しかない。しかも写真の周りに枠線と余白のあるアレ、といえばカスハガマニアには通じるだろう。あの、気取ったおもしろくもなんともない絵ハガキしかない。山陰なんてカスハガのメッカだろうと思っていただけに残念
 仕方がないのでご当地戦隊もの「オンセンジャー」のCDと、ローカル菓子「ロミーナ」を買うが、渡し舟が出るまでまだ時間がある。売店の外にあるベンチで、本を読んで過ごす。
 つくつく法師が目前の木にとまる。つくつく法師の鳴き声は、そのひとつひとつが「練習」に様である。ひとしきり練習が終わると少うし横にずれて、また練習を再開する。なるほど、蝉とヨコバイは同じ種類の虫なのだなあ、とか思いながら夏目漱石「こころ」を少しずつ読む。
 ぼーっとしながら1時間待ち、渡し舟に乗り込む。客は私一人。濁った川の上を風がわたっている。その川を、舟で渡る。対岸の渡し場は台風の所為でぬかるんでおり、靴が泥まみれになってしまった。駅のトイレで靴を洗う。なにもないので素手でごしごし洗う。

 列車くる。豊岡へ。とりあえず豊岡に出て、薬局に行きバンドエイドを買うのだ。豊岡まで行けばなんとか物の都合もつこうと思っていたが、駅前の商業施設はまさかの休み。
 さて時刻は昼過ぎであって、とりあえず何か食べたい。しかし、駅前の商店街を歩いても、薬局どころかまともな飲食店もない。あきらめて帰ろうかと思ったが、空腹なので一軒のスパゲティ店に入る。老人一人でやっている店で、ワインと塩辛いポモドーロを食べ、コンビニエンスストアでバンドエイドを買って城崎へ戻る。

 宿の手前にある店で地ビール(ヴァイツェン)を一杯買い、公園で飲む。うまい。
 宿へ戻って少しダラダラした後、駅前の外湯「さとの湯」へ。ここはサウナもあり、まさにスーパー銭湯そのもの。情緒はないが、広く清潔で明るい。私が温泉に求める雰囲気ではないが、ポップではあるな。入湯客を見ても地元の人が多そうで、それこそスーパー銭湯の感覚で利用されているようだ。
 湯から上がって駅前の「グビガブ」という店で地ビール(ピルスナーと「かにビール」)。かにビールは、かにが入っているわけではなく、かにの味わいをイメージしたビールらしい。のみながら旅日記書き進める。地ビールは三種類飲んだが、公園で飲んだヴァイツェンが一番おいしかった気がする。
 一服して腰をあげ、いよいよ外湯「地蔵湯」へ。

 実はこの地蔵湯には思い出があって、以前、家族で城崎に来た際、私はここで湯あたりして卒倒したのだった。だから、今回はリベンジ。何をどうリベンジするのかよく分からないが、リベンジ。
 そんな事を考えて湯に入って気付いたのだが、城崎温泉の湯は熱い。源泉を水でうすめていると思うのだけど、それでも結構あつい。その中でも、地蔵湯は特に熱い方に入る。こりゃ長く入るとまずいと思い、リベンジそこそこに上がる。完敗
 しかし思い出を辿ってみて、この風呂ってこんな構造だったかな、違ったような気がするな、と思って訊いてみると、どうも城崎の外湯は平成に入ってから改築されたらしい。どうりで清潔だと思ったが、情緒という点ではどうかね、少し寂しい気もする。
 帰り道、「柳湯」へ。入口に柳が植わってて風情がある。なんか神田・室町の「砂場」みたいだな、と思って入ってびっくり。アツい!ここは城崎最熱の湯。44度くらいあるんじゃねえの?とっとと退散。参った。
 嫁への土産に「湯上りサイダー」(なぜか佐賀県製)を買って宿に戻り、夕食。食後、一の湯、まんだら湯、そして内湯に入り、寝る。
posted by LSTY | Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行 | このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/446907478
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック