2018年12月06日

東名あおり運転事故に関連する法律を拾い読みした。

Pop is dead.・あおり運転によって高速道路上に相手の車を停車させ、結果第三者の車が追突して2人が死んだ事故(あるいは事件)
・これについては被告がクソ人間だという印象は僕にもあるし、2人死んでるんだから死刑だろ、という気持ちもある。しかし結局、みんな感情論で被告を糾弾しているだけで法律を一行も読んでないのね。ブックマークコメントには「危険致死傷であって欲しい」みたいな意見も見られたんだけど、法律読んでない。

・危険運転致死傷の規定って、こうですよ。
(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
・これ、今回の事件でどれが当てはまるの?
・あおり運転自体は「四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」に当てはまる。しかし「あおり運転の結果、相手車を停車させた上で相手人物を車外に出し、さらに第三者の車が相手人物に追突して死亡させた場合」にこれを適用するのは、これさすがに無理があるでしょう。
・条文には「運転する行為」と明記されているんだから、これ、私の中ではどう見たって危険運転致死傷には問えないだろう、と考えるわけです。例えば、路上で誰かを殴って、その誰かが走って逃げて、その先の道路で車にはねられて死んだら「殺人」や「傷害致死」に問えるのか?って話ですよ。
・心情的に重い量刑を科すべきと考えるのは分かるけど、これについてはいくらなんでも無理があるだろう。
・で、実際にどういう判決が下るのかと言えば監禁致死なんじゃないのかなあ、と思います。法律の条文を読んだ限りでは。
(逮捕及び監禁)
第二百二十条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
(逮捕等致死傷)
第二百二十一条 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
刑法(強調引用者)
・ここに出てくる「傷害の罪」というのはこれで、今回のケースでは「傷害致死の罪」が該当すると思うんだけど、これ
 (傷害)
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(傷害致死)
第二百五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。
刑法(強調引用者)
・進行方向を塞ぐことで高速道路上に監禁したという見方をすれば、この条文は適用できると思う。
・で、ここまで調べてみて気付いたんだけど「危険運転致死傷」だと「一年以上の有期懲役」なんですよ。対して「監禁致死傷」だと「三年以上の有期懲役」なんですよ。単純に比較すると後者の方が量刑は重い。
・なのになんで検察は無理のある「危険運転致死傷」を狙いたがるのか?二つ以上の罪に問うことで保険をかけたという見方も出来るだろうけど「法律の解釈幅を(無理に)拡げて、警察や検察の権力を強化する」狙いがあるんじゃないか、と思ってしまう。それ以外に何か、この法律を適用するメリットあるのかね。
・一国民としてはですね、なんか世間の流れで「危険運転致死傷を適用すべきだ!」とか不用意な発言は控えるべきだと思いますね。監禁致死傷に問い、危険運転行為も行っており悪質なので懲役何年までになるか(判例を見ると2人死亡で最長15年?)という話でしょう。つーかこの事件の後にもあおり運転やってるんだね。とんでもねえ野郎だな。

・というわけで、関心があったら法律読もうよ、という話でした。

(蛇足ですが、性格検査みたいなのをやってこういう性質の人間には免許を交付しないというのが正しいように思うのですが、なかなか難しいでしょうなあ)
posted by LSTY | Comment(0) | 日記 | このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク
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