■4/26・京都へ。
・夜、嫁が予約していたガーデン・オリエンタル京都で食事。古いお屋敷を改築したイタリア料理店で、デート向きの店。夜のコースは3800円と6500円さほど高くなく、味も普通だが、雰囲気のある店として外さないライン。
・難を言えばBGMの音量が大きすぎること。
・夜、祇園の町を歩く。花見小路を歩いたのは恐らく初めてだが、いかにも観光地のメインストリートっぽい、醜悪な場所だった。
・京都に行くたびに確認しているけれど、私は京都が嫌いだ。京都の寺は好きだけど、京都の町は嫌い。対して奈良は好き。
・どういうわけだろうか、奈良に行くと落ち着くが、京都では始終イライラしている。
・観光都市でありながら愛想が悪く、不親切であり、しかし観光客から金をふんだくることには余念がない、という印象。四条通あたりの中途半端な発展ぶりも気に入らない。新しい駅ビルなど、あんなものは建築家の自己顕示欲でしかない。見る度に、そして歩くたびにひどい建物だと思う。
■4/27
・朝から六波羅蜜寺。いつ見ても良い空也上人。
・聞くと、嫁は初めて見るそうだ。これは意外で、一度も一緒に来たことがなかったのだ。そういえば京都には一人で来ることが多い。
・六波羅蜜寺を出てしばらく南に歩くと京都国立博物館。今回の上洛の目当てはここで行われている河鍋暁斎の特別展。
・結論として「絵画という物に少しでも興味のある人間は行った方が良いですよ」というレベルの素晴らしい展示。特に日本画に興味のある人は必見、暁斎の、これだけの作品群に触れる機会はもう一生ないかも知れない、ならば行け、行かねばならぬ。
・会場に入って驚いたのは来場者の多さ。私が入ったのは開場30分後だったと思うけれど、それでも黒山の人だかり。暁斎ってこんなに人気があったのか。まあ例えばゴッホだモネだという西洋の人気画家が来ると人だかりができるが、日本画でこんなに人が来るんだ、というのがまず驚き。
・そして点数の多さが素晴らしい。暁斎の仕事の全てが網羅されていると言って良い。横尾忠則の「森羅万象」で感じたのと同じ感動。パーフェクトな展覧会だった。
・まさかあの処刑場の羽織の、現物が見られるとは思わなかった。幽霊画も秀逸。
・期待していなかった「新富座妖怪引幕」も、あのサイズで見せられると圧倒される。子供の頃、夏休みに見た宝塚ファミリーランド「水木しげる妖怪おばけ屋敷」、あの迫力と滑稽さ、ああ、あの感覚だと思う。
・その他にも数え切れないほどの名品がそろっている。丸尾末広や花輪和一の源流、というか日本のサブカルチャー芸術の源流といえるのが河鍋暁斎であり、月岡芳年だと思うのだけれど、暁斎に関してはこの展覧会を見ておけばこれは十分という、一生に一度の機会だと思います。
・開催期間は5月11日(日)まで。それまでに京都往復の交通費が工面できるのなら、これは行った方が良い。迷わずお薦めできる。
・なにしろ来場者が多かったので全ての絵を見ることはできなかったが、図録が2500円で売られているのでこれで良いでしょう。これだけの図録が2500円というのも破格。これも一生物。将来的にこの図録は何万になるのか分からないが、手放す気はない。その他、Tシャツなど喜んで買って帰る。
・行くまで暁斎の名前も知らなかった嫁だが、満足した模様。
・焼物でも買おうと清水の茶碗坂に寄る。まあひどい場所ですね、大量生産のセンスの悪い皿に法外な値段を付けて売りつけるモンキービジネス。「茶碗坂」の名が泣くと思う店ばかり。その中で、比較的良心的な廉物の店で何点か小皿を買う。
・京都に行った際に必ず立ち寄る三十三間堂と東寺だが、今回は寄らず。自分は行かずに人に薦めるのもおかしな話だが、東寺で5月半ばまで開催されている春の特別公開は価値あり。多分今回も兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)が公開されていると思うが、あれは東寺の仏像の中でも傑作。
・東寺には傑作仏像が多い。多すぎる、と思うほど多い。多すぎて感動が薄れるほどだ。私が一番好きなのは帝釈天だが、明王も良いし、日光月光も良いし、ミニサイズの十二神将も良い。三十三間堂もすごいけど、あっちはちょっとスマートな感じ。東寺は怒濤の仏像攻めという、武闘派の陳列。「立体曼荼羅」という飛び道具みたいな発想も良い。
・というわけで今回の京都行きは満足。今年はどういうわけか縁があって何度か京都に行くが、次はどうなるか。
で、暁斎の美術館とかあるのかしらん、と思って、ググッてみました。
河鍋暁斎記念美術館
http://www.kyosai-museum.org
すごいセンスのページです。ある意味、行きたくなりました(笑)。
2005年に同じ京都国立博物館で開催された、蘇我ショウハクの図録を一昨年くらいに通販で買いましたが、これも素晴らしい物でした。
まあ一生ものです。多分あのレベルの展示は一生見られないと思うよ。
■doggylifeさん
日曜美術館も見ましたが、お行儀が良すぎてダメでした。あの紹介の仕方じゃあいけません。もっとずっとすごい画家ですよ、暁斎は。技術・発想・作品点数という総合評価では世界一なんじゃないですかね。
すっかり見逃していましたが、ガーデン・オリエンタル京都。僕も全開京都に趣いた際に行きましたよ。ウェイティングに使われる二階の回廊を利用したカフェがなかなか宜しい。BGMの音量がデカいのは恐らく全店共通です。つまり経営母体を知っているのですが、まあ、そこら辺の話はまたいつか。
>まあ、そこら辺の話はまたいつか。
いずれ。
>特に帰りが。
上り新幹線が川崎あたりから品川に入ってくるあの雰囲気というのは良いじゃないですか。あれは移動の疲れをいやしてくれます。
doggylifeさんの好みではないかもしれませんが、暁斎は「すごい画家」ですよ間違いなく。
偉い!というかありがとう。僕の「おすすめ」を信用してくれたということなので。
時間に余裕があれば博物館の前に三十三間堂に寄るのをおすすめします。博物館の「後」はダメよ、暁斎見た後には何もする気がなくなるから。
このエントリーで初めて河鍋暁斎という人の存在を知りました。
日本画の知識はほとんどありませんが、特別展に行っておいたほうがよさそうだと思い、
最終日に行ってきました。
鷹に追われる風神など、何点か心惹かれるものがあり、楽しめました。ありがとうございます。
図録は売り切れていて注文を受け付ける形になっていました、一か月後に届くそうなので
今から待ち遠しいです。
そういう出会いのきっかけとして頂けてうれしいです。私にとっては、ブログをやっていて一番うれしいことの一つです。
絵の見方というのは人によって違いますが、大きく分けて「技術」を軸にして見る人と、「感覚」で見る人とに別れるのではないでしょうか。暁斎のすごいところは、そのどちらにもアピールするような部分でしょうね。ああいう技術でキテレツをされると、降参するしかありません。