■12/25
・鈴本のトリが喬太郎だということで、上野へ。
・トリが15時30分くらいで、終わるのが16時前後、となれば、少し時間を潰して16時半の開店と同時に池ノ端の藪に入れる。
・好きな落語から蕎麦へ、というこれは夢のコース。
・しかししかし、鈴本がまさかの大入であった。立ち見で落語を聴く趣味はないので、夢はついえる。しかも池ノ端藪の開店時間まではまだまだ。ここで気を取り直して神田へ繰り出した。
・目的地は室町の砂場。おなじみ今川橋跡を横目に路地に入ると気持ちが高ぶってくる。
・よし、行列はできていない、と思って暖簾をくぐると、客はまばら。これは幸運だ、坪庭横の特等席に座れた。
・砂場の冬と言えば「はしらわさび」だ。バカ貝(青柳)の貝柱を、山葵醤油で食べるという、ただそれだけのものだが、なかなかに贅沢なつまみだと思う。というわけでまず、燗酒と、はしらわさび。
・砂場では、他の多くの蕎麦屋同様、お酒には「つまみ」が添えられる。蕎麦味噌が一般的だけれど、砂場では「梅くらげ」が多いように思う。梅肉とくらげを和えたもので、これもいいつまみ。
・と思ったら、本日のおつまみはなんと「あん肝」であった。ああ、これだけで一合飲めてしまうではないか!しかもこのあん肝、実にうまい。これ以上香りが強いと生臭くなる、そのぎりぎりの香り。
・貝柱とあん肝を交互につまみ、燗酒をちびちび飲む、これは至福。冷や酒を一合追加。
・オーダーストップだというので、ざるを一枚。そうか、土曜は夕方で終わるのか。
・砂場のざるは、おそらく日本一でしょう。一度嫁と来た時、昼の忙しい時間だったからか、蕎麦がのびていたことがあったが、まずかったのはその時くらい。これが蕎麦だ!というスタンダードそば。
・夜は赤坂のバー、
ティアレへ。元OPAにいた水澤さんというバーテンダーが店を出したというので、いつか行こうと思っていた。しかし、赤坂とかあっちの方のオシャレな町は苦手なので、今まで行けずにいたような感じ。
・ここの水澤さんという人は「全国バーテンダー技能競技大会」というコンクールで優勝しているらしいので、まあいわば「日本一のバーテンダー」ということになります。日本一の蕎麦屋から、日本一のバーテンダーがいるバーへ。これは素晴らしいプランだ。
・夕方の二合の酒が残っていて、どうもちゃんと飲めなかったのが心残り。
■12/26
・前日の酒が残っている。昼過ぎからノロノロ起き出して、浅草で
doggylifeさんと待ち合わせ。とりあえず、並木町の藪へ。二日酔いなのでお酒は一勺だけにして、ざるを一枚。以前食べた時には、つゆに酸味を感じたけれど、今日はそうでもない。
・ここのつゆは相当からいので、蕎麦猪口に1cmも入れると入れすぎ。5mmくらいでちょうど良いのではないか。熱々の蕎麦湯で相当に薄めて飲んでも、しっかりとうまい。
・常連らしいおじいさんの団体が入ってきて、そのうちの一人が、つゆに蕎麦をドバドバ入れ、入れっぱなしで無駄話をしている。他人の蕎麦の食い方に文句を付ける気はないけれど、それでもさすがにあれはどうなんだ、と思った。
・浅草の裏通り、六区を通って吉原へと歩く。浅草の、それも六区あたりは東京ではない、あれは「大阪」だ、と思う。大阪というのは、アホの町であって、言うなれば「町の全体が恥部」みたいなものです。東京は町全体が気取っていて、汚い町もあるが、その汚れ具合も気取っているというか厭世的だったり、虚無的な汚れ方をしている、ように思う。
・そのおしゃれな東京の、本当に「恥ずかしい要素」が、町全体の吹き出物のように吹き出している町が浅草の裏通りだと思う。この感じを一言で表わすと「東京の中の大阪」だ。
・吉原に足を踏み入れるのは初めてだったが、殺伐とした町でありました。とてもじゃないが、僕はあんな寂しげな町で遊ぶ気にはならない。
・浅草に戻り、小腹が空いたので尾張屋へ。永井荷風が愛好したという「かしわ蕎麦」を食べる。
・蕎麦湯を一杯もらうが、柚子切り蕎麦の香りが移っていて、実に情緒があった(本来は、普通の蕎麦と柚子切りは別の釜で茹でるべきだ、と思うが)
・その後、秋葉原を無目的にぶらぶら。
・夜は恒例の忘年会。今回は池袋の
JonNoviという「入口が分かりにくい店」が会場だった。例年になく出席率高く、楽しい忘年会でした。3時間あまりも飲んでいたのだろうか。ああ、もうこんな時間か、という。