2006年01月17日

「野田版・研辰の討たれ」レビュー

Pop is dead.
DOB_devil(byTakashiMurakami)・「野田版・研辰の討たれ」見る。(あらすじ
・最初、どうなる事かと思ったけど、まあまあ収まってる。「どうしようもない」というほど、悪くはない。

・でも良くはない。野田秀樹って、歌舞伎の快楽を知らないのかもしれない。
・確かに、元の「研辰の討たれ」って、理屈に合わない部分が多いんです。野田秀樹は、それを「理屈の通る芝居」にしてる。
・でも、そんな事してどうするんだろう?それだったらさ、「新派」でいいんですよ。歌舞伎の焼き直しじゃなくて、新派とか新劇で良いんだよね。いずれにせよ、現代劇作家の貧乏くささなわけなんじゃないの?そんなの、と思う。

「野田版・研辰の討たれ」は、『落語の舞台化』という感じ。歌舞伎のわかりやすいパロディーというか。
・これだったら花組芝居の方が「歌舞伎の快楽」の表現という点において優っている。
・つーか、猿之助がもうやってるし。わざわざ野田秀樹がやらなくても良いでしょ、と思う。
・Amazon.co.jpのレビューを見ると、絶賛している人がいるんだけど、絶賛には値しないよ。「まあ、面白いですね。歌舞伎座でやったっていうのが面白いですよねー」ってくらいだな。

・「野田秀樹が歌舞伎をやる」っていうのは、僕の期待としては「歌舞伎という型の中で、野田秀樹の考える『演劇としての根源的なもの』を表現する」ってのね。そういうのが見られるのかと思ってた。
・でも、違ったな。「野田秀樹が、歌舞伎役者を使って自分の芝居をやった」というだけ。
・いや、それはそれで面白いのだ。ダメな作品ではないと思う。でも、僕はもっとすごい物を期待してたから。
・「野田秀樹ファン」として見ると面白いと思うんですよ。他の野田演劇とは違うし。「歌舞伎ファン」として見ても、新鮮さを感じると思う。でも僕は「野田ファンで、かつ歌舞伎ファン」だから、期待が大きすぎた。

・映画「群衆」だな、伊集院光がほめてた「群衆」。懐かしい。人間は何に殺されるのか。
・最後の30分が、おっそろしくめんどくさいね。野田秀樹の特徴なんだよね、この「終盤になって、グダグダグダグダ未練がましくセリフが続いて終わらない」っての。
・これは単純に脚本家・演出家として悪い部分。

・勘九郎(当時)のかわいさがいい。ああ、なるほど、と思う演技。もっと不器用な人かと思ってた。
・福助がいい。あの独特の声が、「おやまのデフォルメ」というのを強調していてかわいい。

・関連:歌舞伎「研辰の討たれ」レビュー(實川延若版):こっちの方が歌舞伎としての特異性とか出てて僕は好き。

歌舞伎名作撰 野田版 研辰の討たれ
歌舞伎名作撰 野田版 研辰の討たれ
この記事へのコメント
福助がいい、というのを見て急に興味がわきました。
児太郎だった頃は随分観にいったものです。
the 女形で華があって好きでした。
(でも勘九郎はちょっと苦手…)
Posted by ゆみぞう at 2006年01月17日 11:44
 僕も勘九郎(現勘三郎)、余り好きじゃないんです、個人的には。でも、この芝居では「現代劇のような歌舞伎のような演技」を器用にこなしていて、感心しました。
Posted by LSTY at 2006年01月17日 11:59
私はこの芝居が観くてDVDを買うかどうしようか
悩んでいたんですがやっぱり買おうかなと。
野田秀樹&歌舞伎歴両方とも浅い私としては
野田版鼠小僧は面白かったです。
エンターテイメントとしてお客をひきつける力はあるな〜と。
わかりやすいですし。
歌舞伎に興味ない人も野田さんからなら引っ張れるな
と思ったりして。福助さん観たいな。
よし!やっぱり買おう!
Posted by 涼子 at 2006年01月19日 13:18
■涼子さま
 まあ、出来は悪くはないです。
 野田秀樹が見たければ、これでOKだと思います。
 歌舞伎入門、ということであれば猿之助の「ヤマトタケル」DVDの方が良いかもしれません。
Posted by LSTY at 2006年01月19日 13:58
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