
・何かと言えば、シェーファーのスノーケルだ。
・現在は製造されていないヴィンテージの万年筆で、スノーケルって名前は、その奇想天外なインク吸引方式に起因する。僕も実物を見たことがないんだけど、万年筆のお尻の部分を回すと、ペン先から細い管が出てくる。その細い管をインク壷につけ、お尻をぐっと引き、ぐっと押し戻すと、管からインクを吸い込む、というカラクリなのです。
・こんなにメカメカしい吸引方式は他にない。つまり実用的な話をすると「インクを吸ってからすぐに筆記に取りかかれる」という利点があるわけですね。通常の吸入方式だと、ペン先をインク壷に浸けるわけだから、吸入後にペン先をぬぐうって作業が必要なわけで、スノーケル式だとそれが必要ないってことでしょう。
・しかし、そんな実用の話はどうでも良いんだ。僕にとってはそのメカメカしさ、そして殺人凶器ってところに魅力がある。
・井上ひさしの「四捨五入殺人事件」という小説があります。20年くらい前にNHKでドラマ化されたこともある。その小説で殺人に使われたのが、このスノーケルなんですね。
・スノーケルのインク吸引管は細く、(タイプにもよるんだけど)先が竹槍のように鋭利になっている。これが凶器として使われるっていう話なんですね。
・井上ひさし自身も、スノーケルの愛用者だったらしい。
・そんなわけで、シェーファーのスノーケルをたまに探してみるんだけど、そうそう無いんだよね。まあ、すぐに欲しいわけではないので、ゆっくり探してみます。
・因みに「四捨五入殺人事件」に出てくるスノーケルは全身金張りの「スーパーペン」って事になってるんだけど、スーパーペンってのがシェーファーから出てたという情報は検索しても見つからなかった。「ライフタイム・マスターピース」っていうので全身金張りのスノーケルがあったので、そのことなのかなあ?と思っている。
・先日買ったモンテグラッパ・ネロウーノは好調。デザインも、地味すぎず、華やかすぎず、仕事用としては絶妙のライン。18金のペン先だけど、過剰に柔らかくなく、しかしインク流量が多いこともあって、適度にリッチな書き味
・仕事用にチョイ高(3万円台)の万年筆が欲しい。仕事用だから地味目で、しかしモンブランだとちょっとジジ臭いんじゃないか?と考えている方にはおすすめ。
・落語「ちきり伊勢屋」に出てくる大金持ち、伊勢屋の棺桶(昔の棺桶だから、巨大な樽だと思えばよろしい)が「黒檀製で、銀のタガがはまってる」って代物なんですね。これはセンスですよ。金のタガじゃあダメなわけです。そういうシックかつ贅沢なイメージね、これはネロウーノに共通する美感みたいなものです。
・しかし、その前に買ったスティピュラ・ヴェドヌーダロッソに問題がある。あ、その前にこの万年筆のデザインについて。こいつは全身真っ赤な透明素材でできていて、非常にきれいなんだけど、ここに軽めの赤インクを入れると「赤ペン先生の赤ペン」みたいなイメージになる。だいたいスケルトンの万年筆っていうのは高級感が損なわれる物なんだけど、このヴェドヌーダロッソはそこが顕著。サインペンみたいな存在感になって、とても2万円の筆記具には見えない。逆にそこに愛嬌があるわけで、文句はないが。
・で、問題なんだけど、こいつはキャップがゆるいのです。知らないうちにキャップがゆるむ。で、ペン先が乾くのね。だから、ハーハー息をかけたり、最悪の場合、水でしめらせたティッシュでペン先を拭いたりしないといけない。これはちょっと困る。ちょっと検索してみると「ヴェドヌーダロッソのキャップには空気穴が空いてる」って情報を見かけたけど、そんな物は見つからない。単にキャップがゆるむからペン先が乾燥するんだと思う。困ったな。まあしかし、イタリア人が作ったものだから仕方ない、とあきらめるか。
(追記:この話には後日談というか解決編があります→ http://lsty.seesaa.net/article/251150003.html )
・書き味についてはあまり文句はない。こちらはスチール製のペン先で、堅く均質な線が書ける。2万円もするんだから14金くらいは使って欲しいとも思うが、まあ仕方なかろう。
・文房具関連で言うと、先日、生まれて初めてモレスキンのノートを買って使ってみたんだけど、あんな低品質ノートに3000円も出して喜んでいる人の気が知れない。
・何が問題かと言って、万年筆が使えない、というのはもう品質以前の話でしょう、これは。万年筆で文字を書くと、おもいっきり裏写りしてどうしようもない。仕方ないので、鉛筆を使ってるんだけど、おかしいよ、このノート!
・表紙がしっかりしていて、背表紙にペンが指せる、というのは確かに他のノートにあまりない付加価値だとは思うが、肝心の紙がこれじゃあ使えない。
・というわけで今後、モレスキン持っている人を見たら「万年筆も買えない貧乏人」か「カッコつけたいだけの大馬鹿者」だと思うことにしよう。
・モレスキンにあった(裏写りしない)万年筆インクを使えなんていうweb上の記述を見かけたんだけど、そういうのを本末転倒と言うんです。モレスキン教ですよ、宗教みたいなもので、マニアだけで楽しんどけ、と言いたい。
・と、ここまで書いて「モレスキン教」と「万年筆教」とどれほどの違いがあるのか、と気付いたが、気付かなかったことにしておく。
・ツバメノートが、というか Thinking Power Project がモレスキンのコピー品出したら買うけどね。
・彦六師匠の「牡丹燈籠・栗橋宿」聴く。まるで良くない。走りすぎていて、動機の形成まで描ききれていない。彦六師匠の怪談好きなんだけどね。やっぱり「生きている小平次」だね。あれが彦六師匠の最高峰なんじゃないかね。
・つづく「ざこ八」も面白くない。栗橋宿にしても、ざこ八にしても、マクラも込みで30分でやれる話じゃないんだよ、多分。短い時間では、こういった話における「人の心の動き」を描けない
・「圓生百席」を聴いちゃうと、どうしても他の演者の落語に対して辛くなる。「百席」は一席60分以上あるわけです。じっくり聴かせる。これを聴いてから、他の噺家のライブ録音なんかを聴くと、これはどうやっても軽く感じてしまう。
・映画「ガス燈」見る。企業による集団ストーキング「ガスライティング」に関するニュースを読んで興味を持ったので、書店で390円のバッタ物DVDを購入。
・心理操作を描いた作品として面白かった。あとイングリッド・バーグマンって初めて見るけど演技うまいねえ。終盤のモウロウとした感じとか、すごいなあ、と思っていたら、あ、このモウロウぶり「オリエント急行殺人事件」のあのおばちゃんか、そうか!と気付いた。
・以前も気付いてたはずなんだ。クレジット見て「ああ、この人がイングリッド・バーグマンなんだ」という認識はあったはず。でも、いけてないオバちゃんの役じゃないですか。だから印象に残ってなかったんだと思う。美人女優ってイメージとはかけ離れてるもの。
ボクはモレスキンの固い表紙がダメですね。まるめられないと落ち着かないんです。ロディアみたいなのにカバーつけて使ってた時期もあったけど、行き着いた先は普通の大学ノートでした。
インジェニュイティは、興味あるんですけど、あれって結局ピグメントライナーですよね?試し書きもしてないんですが、なんとなく予想できてしまって、手に取っていません。
あとやっぱりペン先のデザインは悪いですよね、無駄というか。
僕は現状、ライナーはロットリングのティッキーライナーと、ステッドラーのマルス・プロフェッショナルを使ってます。ロットリングの方は実質はボールペンみたいで、かすれるので使いにくい。
モレスキンはずっと「気取るためのモノ」だと思ってたので、もともと印象が悪いんですよね。雑誌とかでモレスキン使ってますって出てる人間、みんな気取ってるじゃないですか、悪い意味で。
ロディアは罫線の色が嫌いです。
メモ帳は、ツバメ(リュウド)のを山ほど買ったので、あと数年はツバメ使います。
パーカー5thのペン先デザインは「高級に見せるためのフェイク」だと思うんですが、おそらく機能上の必然性はなくて、むしろペン先を見えにくくしている、機能を損なっている(試し書きしてないので断定できないけど)
ああいうの、例えばLAMYがデザインしたら大いに違うんだろうと思います。
しかしライナーの選択にはずっと悩んでます。ロットリングのティッキーグラフィックにするか、ステッドラーのマルス・マチックにするか。