・ついに我が家に「ブロッター」がやって来た。・ブロッター、と言ってもおおかたの人には理解がないと思いますが、インク吸い取り器のことです。古い洋画なんかで見たことないですかね、紙に文字を書いた後、黒板消しみたいな形の器具で紙の上のインクを吸い取るような。あれがブロッターです。
・ブロッターと映画で思い出すのは、チャップリンの「モダンタイムス」だったと思いますが、労働者が働きながら食事できるっていうシステムが出てきますね。立っている労働者（チャップリン）の目の前に自動回転式テーブルがセットされ、その上の皿がクルクル回って食べ物をチャップリンの口に運ぶ、という。その時に口をぬぐう機械ってのが出てくるんだけど、これがブロッターに似ている。
・話がそれましたが、僕は口をぬぐうためではなく、万年筆のインクを吸い取るためにブロッターを買いました。あ、念のため言っておくけど「ブ(BU)ロッター」ね、「プ(PU)ロッター」ではありません。つづりは「blotter」です。
・先日、満寿屋の原稿用紙を買ってきて、試しに縦書きで文字を書いてみたところ、文字を掠っちゃってどうしようもないことが分かった。特にペリカンM400のペン先なんか使うと、インクの流量が多いものだからなかなか乾かない。一行字を書いては乾くのを待ち、なんて事になってしまう。これはいくらなんでも、と思ってブロッターを買ってみたのです。
・さて、ブロッターと言ってもピンから桐まであるわけですが、私はピンに限りなく近い、コレクトというメーカーの木製のを買いました。1000円ちょっと。
・高いものでは革製の3万円なんてのもあるんですね。格好いいけど、さすがにやめといた。
・来てみてまず腹が立ったのは、コレクトの木製ブロッター、こいつを買うと、激烈簡易包装で来ます。ビニール袋に入ってるだけ。それは良いんだが、値札がですね、ビニール包装ではなく、本体の木製部分に貼ってあるのね。
・そのシールが、簡単にはがせる物なら良いんですが、やたらめったら粘着力が強く、全然はがれない。仕方ないのでシールはがしの薬剤を使うと、表面のニスを侵してニスがちょいとはがれた。ここでテンションダダ下がりですよ。
・あのねえ、ビニールに包装するなら、外にシール貼れよ。やむを得ず本体に貼るんなら、はがれやすいシールにしろよ。はがれにくいシールを貼るんだったら、市販のシールはがしに侵されない塗料を使えよ。こういう事に気付かないメーカーはダメですよ。
・まあ、ダメなメーカーだからこそ、こんな時代に売れもしねえブロッターなんて作ってるのかも知れないが…
・でねえ、本体の作りもですね、チンケなんだなあ。まず、本体底面が左右対称じゃない。ちゃんと作ってないなあ、という印象。そして何より残念なのが、持ち手の部分がプラッチックなんですよ。これは廉っぽいなあ。ニスの塗り方もぞんざいだし、あんまり良い物ではないです。
・万年筆という高級筆記具に見合うブロッターをお求めの方は、倍額近いですがエルバンの物か、あるいはもっと高いものを買った方が良いかも知れません。同じコレクト社製で、黒漆塗りというのもありますが、これも品質は期待できなさそう。だったらヨーロッパ製のものを買った方が無難かと。
・まあしかし、このご時世に売れない物を作り続けていて、それを千円ソコソコで売ってくれるというだけでもヨシとせねばならぬか。
・そんな感じで文句ばっかりですが、吸い取り紙をセットして書いた文字の上を動かせば、ちゃんとインクは吸い取ってくれます。当たり前ですが。
・あー、ブロッター本体に吸い取り紙（消耗品）は1枚も付いてきませんので、合わせて買わないと泣きを見ます。吸い取り紙はたしかコクヨ製のものもあり、比較的入手しやすいと思いますが、画用紙でも代替できるようです。たしかに紙質は画用紙に似ています。
・注意が必要なのは、文字を書いてすぐにインクを吸い取ってしまうと、文字が薄くなります。多少は紙にインクが染みこむのを待った方が良いようです。結局待つんだったら、ブロッターの存在意義はどうなるんだ！？という疑問も生じますが。
・あと僕は、一回使ったら、その度毎に吸い取り紙を替えるのかと思っていましたが、そんな事はしなくて良いようです。吸い取り紙が全面汚れたら交換する、てな感じで良いみたいです。あんまり汚れてたら、かえって原稿用紙を汚しそうなので、まあそこは適宜という感じでしょうか。
・あと思ったのは、ブロッターって置き場所に少し困る。ブロッターを置くスタンドを一緒に売ればいいのに、と感じました。
ブロッター 木製【生地塗】 P-205
コレクト 吸取紙 P-200 ブロッター用 20枚
