2012年05月02日

5/1日記(篆刻・和印)

Pop is dead.
Pop is dead.・篆刻をしてみた。
・中学生の技術かなんかで、一度だけやった記憶はあるんだけど、それ以来数十年ぶりである。「まあ、楽に出来るだろう」と思っていたら、存外に難しいものだった。

・今回、僕が使ったのは呉竹の廉価版篆刻セット。その、10mmx10mmの石に印を彫ってみた感想

・まず篆書が難しい。真四角の石に、どう文字を配置すれば良いのか。一文字の場合、二文字の場合、それぞれに難しい。単純に文字を置くとつまらないし、凝った配置にすると余白の取り方に悩む。
・そして文字の転写、石(印材)にデザインした文字を転写するのが難しい。鉛筆で簡単に転写できると思っていたら、鉛筆転写だと文字が薄すぎてどうにもならん。仕方ないので転写をあきらめ、石に直接鉛筆で字を描いた。

・いざ彫ろうとするんだけど、10mmx10mmの印というのは非常に小さい。これを手で持って彫ろうとしても、不安定でしょうがない。本来は万力みたいなもので固定して彫るらしいが、そんなもの買う気はない。そこで、うちに転がってる万年筆の箱を二つ持ってきて、それで挟んで印材を固定して彫った。
・彫る方向に応じて、印材をどう固定するか絶えず変えなければいけないし、なかなか面倒なんだけど、しかたない。

・で、彫る時の力の入れ方、これが難しい。力が弱いと彫れないし、かといって入れすぎてもガガガッと行っちゃって、いらんとこまで彫ってしまう。直線部分はまだ良いが、曲線や斜め線の難しいこと。最初、弱い力でカリカリ彫って、ある程度アタリが付いたら力を入れて掘りを広く、深くする感じ。
・しかし何度も変なとこを彫っちゃって、修正することに。紙ヤスリをかければ修正できるわけですが、しかし当然、今まで彫った部分ももう一度掘り直さないといけない。

・本来は「筆で書くように彫る」らしいんだけど、そんな事出来るわけないじゃないですか、石を彫ってるわけだから。無茶だよね、石を彫る人間に対して「筆で書くように彫ればいいのだ」なんていう注文、「草加せんべいを音立てずに食え」みたいな話じゃないですか。
・やっぱり曲線部分をどう処理するかが難しい。ガキガキに彫らず、なんとなく丸みを出していくのが難しい。
・リューターなんか使うと楽だと思うんだけど、篆刻のために買うのも馬鹿馬鹿しいし、邪道っぽいのでやめておく。

・かくして僕の篆刻第1号が出来たわけだが、連休はこれで多少時間がつぶせそうだ。
(正確には中学の頃の作品から数えて第3号だと思うが、当時は篆書もなにも分からなかったはずなので、これを1号とする)

呉竹 篆刻セット其の弐
呉竹 てん刻セット其の弐 KO800−2

・北原照久「和印(わじるし)」買う。僕も知らなかったが、和印というのは「立体春画」と言われる物で、普通に見るとありきたりな泥人形(土人形)、裏返してみると、そこに性的な意匠が現れる、といった物
・四国の土産として売られている「つればり人形」は知っていたが、和印というのは知らなかった。各地の温泉街などで、密かに売られていた物らしい。そういえば、つげ義春の漫画で温泉地に春画やエロ写真を売りに行くという物があるが、そういうのと同じようなルートで、秘密裏にやりとりされていたんだろう。
・所詮土人形なので、造形は大したものではないんだけど、文化の記録として面白いし貴重だ。現行品であるつればり人形も、もう作り手がなくて絶滅寸前らしいので、こういう文化財は保存しなければいけない。

・そして、やはりコレクターの仕事っていうのはこういうものだよ、と感じる。マスプロダクトをコレクションするなんて浅いわけですよ。大量生産された物を集めたって浅いですよ。さらに、公に価値があると認められたものを集める、ってのもつまらん。
・こういう「社会から抹殺された物」を集めてこそ、真に価値あるコレクションが構成されると思うね、僕は。

和印―北原照久秘蔵のコレクション
和印―北原照久秘蔵のコレクション
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