
・ただ、ストーリーが面白いというのではなくて、建造物やキャラクターのデザインとか、そういうディテールが好きなのであって、やはりあの宮崎駿特有の懐古趣味というか寓話性というか、あれはどうにも好きになれない。
・しかしやはり、この映画にはつげ義春の影響が強く出ていますね。影響というか引用。
・特に「ねじ式」からの引用は分かりやすい。冒頭の「め」や浴衣に書かれた「めめ」なんかは非常に確信的だし、「天狗」の文字も「ねじ式」にある。主人公が海の中や線路を歩くシーンも。そう考えて見ると「千と千尋〜」のお湯屋の外観は巨大な工場のようで「金太郎飴ビル」に似ている。
・それだけではない。夜が迫ってくる感じやカオナシの描写には「夜が掴む」や「外のふくらみ」を感じさせるものがあるし、湯婆婆が空を飛ぶ姿は「無能の人」の第三話「鳥師」そのもの。
・だいいち温泉と言えばつげの好む題材である。「千と千尋〜」に出てくるお湯屋は群馬の積善館をモデルにしているという噂もあるが、確かつげもこの旅館を描いていなかったか?随筆の方だったか。
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・参考(AKIRAやエヴァンゲリオンからの引用も指摘):Review: 千と千尋の神隠し
http://sekizenkan.co.jp/genroku.html
つげ原作の映画は全く見ていないのですが、積善館の元禄の湯は、つげ作品のイメージにぴったりだと思うのです。湯治場の雰囲気があって。
脱衣場がないんですよ、あそこ。お風呂の一角で服を脱いで入るのです。浴槽も面白いし、あの旅館全体の雰囲気も最高ですよ。
■鶏さん
積善館がモデルになったというのは飽くまでも噂のレベルですが、旧館の玄関に至る橋なんかは、たしかに雰囲気があります。
脱衣場というのはそもそも要らない気もします。服は丸めて投げておけば良いのですから。大袈裟な脱衣場に足を踏みれる度に不可思議な心持ちになります。
つげ義春は作品によってかなり絵柄が変わるのですが、温泉ものはわりとクセのない絵柄のものが多くて読みやすいと思いますよ。
「つげ義春の温泉」という本が面白そうですね。漫画オンリーなら「リアリズムの宿」という旅漫画集がお手頃でしょうか。
つげ義春のマンガのほうに似てる雰囲気ありますね。石井輝男のほうじゃなくて。
あと、真偽は定かではないですが、
小樽の廃墟「夢の里オタモイ遊園地」とか
台湾の九分(ビビアン・スーが言いだしっぺという説。賛成しかねます)とか江ノ島なんかがモデルだという説がありました。
少なくとも「ねじ式」とかよりは取っつきやすいと思いますよ。
■Tomotubbyさま
コメントありがとうございます。
宮崎駿とつげ義春って全く接点がないようでいて、実は根っこの部分はすごく近いのかも知れないです。少なくとも押井守と宮崎駿のような違いはない。
湯屋の描写は実は、あらゆるパラダイス(「ロードサイドジャパン」に出てくるような怪しいテーマパーク)に似ていて、ああいう物が消えて廃墟化してゆく日本とか、そういうのを描きたかったのかなあ、とも思います。
■天慈さん
ラピュタは妥当ですよね。僕はナウシカが嫌い、というかあれの何が良いのか全く分からないんですよ。とか言ってみる。
私の場合はナウシカはアニメよりマンガの方が好きですね。で、アニメのナウシカもナウシカがオウムの触手で持ち上げられていくあの前後の場面くらいしかいいとは思ってません。つまりシチュエーションだけが好きということです。
LSTYさんはどこらへんが嫌いなのですか?
>どこらへんが嫌いなのですか?
宮崎作品全般で言えば「説教臭い懐古趣味」でしょうかねえ。「もののけ姫」も、舞台が日本じゃなかったら確実に嫌いだったと思います。懐古趣味については押井守が言ってることそのままです。僕としては、懐古趣味自体は好きだけど、そこに説教臭さが加わると嫌ですね。
あと、ナウシカの演出って非常に「アニメっぽい」でしょう、台詞の言い回しからたとえば「はぁ」とかいう、言葉になっていない発声も、なんともアニメ臭い。声優の問題とか、時代の問題とかあるし、最終的には好き嫌いの話なんであれですけど。
YouTubeで話題になったナウシカの舞台なんかも、僕はすごく気持ち悪かったんですよ。やっぱり僕は実はものすごいアニメ嫌いなのかも知れない。