・正式名称は「volca beats」と「volca bass」だが、何を考えてこんなネーミングにしたのか。見た目が似ている上に「beats」と「bass」ではつづりも発音も若干似ていて誤認しやすい。なので私は前者を勝手に「volca rhythm」または「volca rhythim」と呼んでいます。
・で、半日くらい使った感想。
■全体
□良いところ
・とにかく廉いアナログシンセ、これに尽きる。
・電池駆動で膝に乗せて遊んでいられる。それこそ外出先にも持って行けるサイズ。デスクトップ音源としても場所を取らず、このサイズはすごく良い。
・筐体は黒だが、透明の樹脂を使っているため横から見ると基板やLEDの光が透けて見える。これが格好いい。
・ちゃんとした機材と比べれば操作は簡単で、ステップシーケンサーの基本的な使い方を勉強するにはちょうど良いと思う。
・ケーブルを側面ではなく本体上面に指す仕様のため、更に省スペース。これは地味ながら結構重要では?
□悪いところ
・詳細は後述するが音が概ね平凡。コピー元のRoland製品の方が個人的には好き(303は触ったことないけど)KORGとしてはパクった手前「Roland製品と似た音が出る」と言われたくない、メーカーとしての意地もあったんだろうが、それがマイナスに出た感じ。
・Sync信号に「スタート/ストップ」の信号が含まれない(クロックのみ)Syncでつないでもスタートボタンは2台とも押す必要がある。押すタイミングがずれるとビートもずれる。これまあオモチャだと割り切れば逆手にとって面白い効果が出るとも考えられるけど、基本的に駄目な仕様でしょう。それだったらMIDI Out/Thruも欲しかった。
・マニュアルが簡単すぎ。これじゃ分からない人も居るのでは?
■volca rhythm
□良いところ
・ベースドラムの音は確かに良いかも。TR-909系の音を想定してたけど、むしろTR-808に近いと感じた。とにかく低いサイン派というか、ブーミング音みたいなベース。ニーズとしては909系の方があるんだろうけど、敢えて808っぽくしたんだろう。
・サンプリング音源(PCM)のスピードが変えられるのは、ちょっと面白いかも知れない。
□悪いところ
・スネアの音が駄目すぎ。ただのノイズか、スポォンみたいな間抜けな音しか出ない。
・アクセントが無い。まさかそんな事は無かろう、と思ってマニュアルを見直したが、やはり無いようだ。
・Roland TR-606の場合「ハイハットのクローズとオープンを重ねるとアクセント(半開き?)になる」という機能があるが、それが無い。
・各楽器ごとの音量は変更できるが、記録されない。
・PCM音源の種類が中途半端。ハンドクラップは良いとして、あとが「クラベス、アゴゴ、クラッシュシンバル」ってどうよ。個人的にクラッシュ要らないってのを差し引いても、クラベスを抜いて「アゴゴHi、アゴゴLo」にした方が良かったんじゃないか、どうだろうか。
・ハンドクラップはPCMじゃなくてアナログ音源の方が良かった。スネアが駄目な分、余計そう思う。
■volca bass
□良いところ
・素直でハイファイな感じのアナログシンセ。ベースと言ってるけど、ブラス系の音も出せる、普通のアナログ・モノシンセとして用途を選ばない。
・というか、後日発売される「keys」って存在意義あるのか?三音ポリなんて中途半端なkeys買うならbassで十分だと思うが。
・オシレーター三つってのが良い。チューニングをちょっとずらすと、高級アナログシンセっぽい音にもなる。
□悪いところ
・まあ調整すれば良いんですが、音がでかすぎ。あとつまらないことですが、カットオフのつまみが緩すぎないかね。
・レゾナンスを一杯に上げてカットオフを絞ると、お馴染みのアナログシンセっぽい音が出るんだけど、レゾナンス・カットオフを両方8〜9割くらいにした時に出るはずのケロケロ・ギョロギョロ音が出ない。これも「TB-303っぽい」と言われたくないためと思われるが、あの音が出ないのはかなりマイナス
・SLIDE(ポルタメント)の効きが甘いように感じる。ギュインって感じが出ない(使い方が悪いのかも)
・ハイファイって書いたけど、意地悪に言えば「つまらないシンセ」。出る音はどれも想定内で、変わった音は出ない。
・鍵盤の印刷が白黒逆転になってるのがダサいし分かりにくい。
・半日しか触っていない上に酔っぱらいながら遊んでいたので、事実誤認もあるかもしれませんが、だいたいの感想は上記の通り。
・特にベースの方は小さくまとまった感じがする。あんまり変なことができない感じ。ヒットはするだろうけど、30年後に「伝説の名機」として高値が付いたりする機械ではないように思う。
・あんまり面白い音は出ないので、僕はあえてこれをベースシンセ・エフェクターなんかに通して使おうかと思う。
・リズムはベースドラムの音が良いだけに、その他の中途半端さが残念。スネアがもう少しマシだったらなあ。
・しかし文句を言いながらも、机の上や膝の上で気軽に遊びながら音を出すおもちゃとしては結構面白いし、何よりアナログシンセでそれなりに使える物としては最も廉い機械なので、これはこれで十分ありだと思います。
現在品薄のため、Amazonでの取り扱いは中断中。こういう人気機種は、KORGと永年関係を築いてきた老舗楽器店から買うのが吉かも知れません(僕はラオックス楽器館の楽天店舗から買いましたが、ちゃんと発売日の6/23に届きました)
VOLCAいいですね。僕も近々購入しようと思って色々調べているところです。こちらで詳しくレビューされているのでとても参考になりました。
ところでちょっと教えていただきたいのですが、シンク端子で同期するのはあくまでもBPMだけで、スタートとストップは手動でタイミングを合わせないといけない、と書かれていましたが、
スレーブ側のシーケンスをオン(再生)にして待機させ、マスター側のシーケンスをオンにしたら同期してスタートされませんか? 以前、EM-1をマスターにしてMonotribeを同期させていたときはそんな感じで動いていたのですが。もし違ってたらすみません。
>スレーブ側のシーケンスをオン(再生)にして待機させ、マスター側のシーケンスをオンにしたら同期してスタートされませんか?
それは試してないですね。試してみます。
やってみましたが、駄目なようです。マスターが停止している状態でも、スレーブのスタートボタンを押すとスレーブの演奏が始まります。
また、これは私の個体の不良かもしれませんが、MIDI同期がずれます。
マスター(オーディオインターフェイス)→スルーボックス→Electribeのスルー→volcaという接続なんで、そんなに遅れるはずはないと思うんですが、32分音符分くらいは遅れてます。MIDI設定をちょこちょこいじってみてます。
残念ながらMonotribeとは仕様が違うんですね。
お手数をお掛けしました。
それはさておき、ぼちぼち動画サイトでもアップされてきましたね。
同期の件は残念ですが、やっぱり欲しくなっちゃいます。
volca同士でつなげた場合、クロック信号は常に送受信されているので、スレイヴはそれにあわせてスタート→演奏します。
TR-606のトリガーを、volcaのSyncInにつなげると、スレイヴ(volca)はスタートしないようです(スタート待機になる)
しかしMIDIにつないだ場合に関しても、スタートのタイミングはよくわかりません。MIDI同期では32分音符程度は完全にずれるし、606のトリガーでもずれる場合があるようです。
ここらへん、ちゃんとレビューしてるサイトがないのが不思議なんですが、不良品なのか?あるいはレビューサイトがあえて書いてない(隠してる)のか、よくわかりませんが。