・名古屋・鶴舞の蕎麦屋「春風荘」で昼から飲む。以前にも書いたが、ここはお通しがすごい。酒を頼むと、まぐろの刺身、鴨の炙り、貝の和え物、豆腐なんていう盛り合わせが付く。名古屋嫌いの私もさすがに「これが名古屋文化か!」と感心してしまった。
・残念だったのは天ぷら。才巻海老をつまみたかったのだが、才巻はかき揚げのみの提供。あとは小海老か大海老のみ。小海老をかき揚げにして、才巻か大海老か選べるようにすればいいのに。
・この店の天ぷらで不思議なのはオプションで「炙り焼き」というのがあること。揚げた海老を、金網か何かで炙り、すこし焦がして出す。香ばしくてうまいと言えばそうなのだが、どうももったいない気がする。そのまま出してうまい物を、なぜわざわざ炙るのだろうか。
・たしかに「天ぷらを炙る」というのは奇矯なことではなくて、北大路魯山人が紹介したこともある。ただしそれは「昨晩揚げた天ぷらを、翌日うまく食べる方法」としての紹介だった。天ぷらを炙り、それを茶漬けにする、という話。やはり、揚げたての天ぷらを炙ってしまうのは、どうももったいない気がしてしまう。
・春風荘の蕎麦はまあまあ。不味くもないし、感心するほどうまくもない。ただ辛味大根など薬味がたっぷりめなのが良い。
・歩いて栄へ。オクトーバーフェストというビール祭りに行く。隣接した会場で「ビアフェスタ」とかいう別のイベントをやっていて紛らわしい。
・暑い時期に屋外でビールというのはまあ良いとして、高すぎる。1杯1,300円が相場。しかもベルギービールではなくドイツビールなので、特別なプレミアム感がない。1杯500mlも入っているので、何種類も飲み比べが出来ない。これだったら普通のビアガーデンの方が良いぞ。
・その後、大須演芸場のイベント「トンデモ落語会」へ。今回の出演者は快楽亭ブラック/立川談之助/雷門獅篭/坂本頼光。
・演目は(快楽亭ブラ雲「小町」)雷門獅篭「星に願いを」、快楽亭ブラック「SM幇間腹」、坂本頼光「昆虫カメラマンの復讐/サザザさん5/きじるし」、立川場談之助「赤尾敏物語(選挙漫談)/スーパーヒーローコスプレ」でした。
・出鼻、獅篭の「星に願いを」で心がくじけそうになる。つーか寝た。新作落語の人情噺で、落語家自身にそれを演じきる腕もないので、ただ眠い。こういうネタは、自分のファンが集まる独演会でやってほしい。他に面白いネタも持ってるはずなのに、七夕だからと無理矢理このネタをねじ込んでくるところに「サービス精神の欠如」を感じる。
・ブラック師匠「SM幇間腹」面白いのだが、今回は大トリではないので、あまり気が入っていない。個人的にはこの話のクライマックスは幇間・一八の「ざまぁみやがれ!」という台詞なのだが、今回はその台詞ごと飛ばされており、残念。あとやっぱり亀甲縛りが中途半端なので、ブラ雲君に縛ってもらってはどうか。
・坂本頼光、結論から言うと彼が今回のメイン。頼光先生が居なければ、今回のトンデモは不発だった。「昆虫カメラマン」はストップモーションで撮られた古い映画を使った「普通の活弁」、これも十分面白かったが、次に続く「僕の腹の蟲」そして「秋日和」がすごい。爆笑。詳しいことは書くべきではないと思うので、書きません。悪いこと言わないから、お笑い好きの人は一度は見に行きなさい。YouTube見て分かった気になってたら、衝撃を受けます。
・談之助は大トリなのに漫談か!まあそこそこ面白いのだけど、前回のトンデモで飛び出した「朝○人が井戸に毒を入れている像」といった爆笑ポイントがなかったのでいまいち。
・飲んで帰る。
■7/7
・大須演芸場定席、ブラック師匠「四段目」「英国密航」
・「英国密航」で引っ掛かったのは、キロセッキ号に乗船する侍がマゲを切る場面がある。で、装束も洋服に着替えたはずだ。しかし、その姿に関する描写がない。チョンマゲ+着物ではないはずなんだけど、じゃあどんな格好だったのかが分からない。五人の侍がどんな出で立ちだったのか、最後までモヤモヤしてしまう。
・快楽亭ブラック師匠の小規模落語会。今回は「盃の殿様」ねたおろしか?
・この落語会、普段余り聴けない話が聴けるのが良いのだけれど、対面式のテーブルの端っこに高座があって、いわゆる「ゴッド・ファーザー式」に落語を見る形になる。話の最中、ずっと首を曲げていなければいけないので、1時間の噺なんかだと首を痛める。
・快楽亭ブラック師匠も絶賛する岐阜の料亭「きんか」の河村さんから「天ぷらは奥が深い」と聞く。「店ではなく、職人によって味が違う」というのがその理由らしい。たしかに、天ぷら屋は、1.複数の職人が同時並列で同じ仕事をする、2.最終の加工工程が味に大きく影響する、という二つの特徴を持っている。
・寿司屋なんかも1.の特徴は同じだが、言ってしまえば店にある魚と御飯を組み合わせるだけだから、職人が違っても極端な味の変化はないだろう。その点、天ぷらは最終工程こそがキモであって、そこがうまくないと全く成立しない。
・河村さん曰く「天ぷらに関しては、専門店にかなわない」とのこと。確かに、料亭にせよ料理屋にせよ、厨房から客室やテーブルに運ぶ間に天ぷらの味は変容してしまう。数十秒の時間であっても、やはり天ぷら屋のカウンターで食べる物よりは不味くなってしまうものなのかも知れない。
・そう考えると、春風荘の「炙り焼き」にはそれなりに意味があるのか、とも思える。揚げた天ぷらを炙ることで表面近くの水分を飛ばし、客席に運ぶまで食感を保つ、という意図があるのかも知れない。
・ブラック師匠からの話「圓生師匠といえば『三十石』の『沖の暗いのに白子が見える、あれは絹子の蜜柑箱』、僕ら世代の落語家にとっては、圓生師匠といえばあれですよ」ブラック師匠は、圓生師匠があえてくだらない駄洒落を言ったり軽い話をする姿が好きだったんだろうなあ、と思った。以前は圓生の「四宿の屁」が好きだと言ってたし。
・で、圓生師匠(三遊亭圓生)は「三十石」を何度も演じてたみたいですね。圓生師匠は関西弁が話せるので、自分が上方落語をやるってことに使命を感じていたのかも知れない。ブラック師匠も、ある程度関西弁が話せるので上方噺を演じることが多い。最近、米朝師匠の噺を何度も高座にかけるので何でかな?と思っていたが、圓生師匠のような使命感から来るものなのかも知れない。
・肝屋店員の段取り甚だ悪く、面白いほどだった。聞くと未成年の店員との由。自分が酒を飲まないから、酒の出し方など分からないのだろう。
すっかり御返事が遅くなり、全く役に立てずに申し訳ありません。
大須演芸場はお盆の特別興行だったと思います。豊来家大治朗という芸人はなかなか、では無かったでしょうか。
実は私は元来「名古屋嫌い」でして、あまり名古屋の観光スポットを知りません。(逆に教えて欲しいくらい)
飲みに行く場所も、大甚、春風荘といった有名どころ、あとは大須界隈か名古屋駅周辺で適当に済ませる程度です。
全然参考になるようなことを書けずに申し訳ありませんが、何かありましたらコメントはご自由にどうぞ。