2013年12月16日

大阪で犬鍋(補身湯)を食べてきた。

Pop is dead.
Pop is dead.・長年の念願が叶い、犬肉を食べることが出来た。
・昨年はザリガニを食べて、今年はカメムシを食べて、「とにかく気になる物はどんどん食べてみよう」ということでスケジュールを組んだのだった。

・新大久保に犬肉の鍋(補身湯 / ポシンタン)を出す店があるらしいことは知っていたが、大阪でも食べられると知って出掛けてきたのだ。
・以前も鶴橋に犬を出す店がないかと検索してみたことはあったのだが、見つからなかった。そして今回、鶴橋の一つ隣、今里に補身湯が食べられる店があると分かり、有志を募って乗り込んできた。
・今里は相当ガラの悪い場所かと思っていたがそうでもなく、駅から普通の商店街が南へ延びている。朝鮮人街なのかと思っていたが、そんな感じでもない。駅前のスーパーも至って普通。商店街を5分ほど南下して通りを越えると韓国料理屋が数軒現れる。「ムグンファ」っていう店があった。
・さらにしばらく南へ歩くと、ありました「開城食堂」。カイジョウショクドウ、あるいはケソンシクタンと読むらしい。

・実は訪問に先立って、予約でもしておこうかと数日前、店に電話をしていた。その時のやりとりはおおむね下記の通り。
 「もしもし」「ハイ」「あの、14日は、営業していますか」「ア?」「じゅう、よん、にち、は エイギョウして、いますか?」「ア?チューヨン?」「五時頃、行きたいんですけど」「ウー、こぢらワー、カイジョウショクドウですぅー」「(間違い電話だと思われてるし、もうダメだ通じない)すいませんでしたー」「ムー」ガチャン
・つまり、まったく日本語が通じないのだった。しかもすごく感じが悪い。そういえば開城って北朝鮮だよな、大丈夫だよな、と非常に不安になった。あまりに不安なのでwebから「韓国語会話/レストランで」というページを印刷して持っていった。

・店に入るとスナックやラウンジみたいな雰囲気のホールがあって、左奥に進むと客席のある部屋に至る。オモニが居るので「三人」と告げると席に案内してくれた。板張りで、多分韓国の普通の民家っぽい作りになってるんだろう。定食屋っぽい、家庭的というか落ち着いた感じ。
・先客が1名、テレビ(韓国の番組が放送されている)を見ながら食事中だった。

・とりあえず「ビール二つ」「ん?ピール?」「そうそう、スーパードライ」瓶ビール(中)が二本来る。良かった、通じた。
・「ポシンタンを二つ」「ニニンマエ?」「そう、二つ」「ニニンマエ1万」「はい、お願いします」3人前だと多いかと思ったので少なめに注文。
・まずキムチが5皿くらい来る。白菜キムチ、カクテキ、芹かエゴマのような茎と葉のキムチ、水キムチ、それに大根とごぼうの中間のような固い野菜のキムチ。これが結構多い。

・鍋が登場。真っ赤なスープにねぎ、それにわらびのような野菜が入っている。この時点では肉は入っていないのだが、犬からスープを取っているのか、若干獣臭い。「羊頭狗肉」というが、羊に似た臭いだ。
・鍋が沸いたら「まず野菜を食べろ」と言われるので、指示されるままに野菜を食べる。日本人向けに調整された味ではないので多少の違和感はあるが、不味くはない。しばらくすると、山盛りの肉が来た。「ハジメテ?サービス。サンニンマエ」つまり初めての客だから一人分、肉をサービスしてくれたのだろう。肉を鍋に入れ、その上からエゴマの葉と茎、芹、それにエゴマの種を多めにのせる。
・オモニが小皿にヤンニョム2種、エゴマの種子、コチュジャンを混ぜてつけダレ的な物を作ってくれる。コチュジャンを入れる時に「カラクスルカ?」と訊かれたので「辛くない方が良い」と言ったのだが「カラクナイ!おいしい!」と言いながらコチュジャンをたっぷり入れてくれる。基本的にこちらの要望は聞き入れられないようだ。

・肉は加工してある物のようで、普通の生肉とは違う感じ。いったん蒸してあるのかな。全く固くなく、むしろかなり柔らかい。食感的には「煮豚を非常に柔らかくした感じ」だろうか。皮下脂肪というか、皮のゼラチン質も付いていて、これがミミガーのようでもある。肉自体の臭みはほとんど感じない。たまに骨が混ざっている。
・芹かエゴマか、植物の茎がうまい。鍋自体に味が付いているので、タレはお好みでちょっとつけて食べる。

・キムチや鍋を食べているとやはりちょっと辛い。「あ、辛いな」と口にすると、すかさずオモニが駆けつけてきて「カライ?」と気にする。「大丈夫、大丈夫、おいしい」「ウム、オイシイ!」と、この店の辛みが適度であることを確認して戻る。その後も少し「辛いな」と言うと駆けつけてくる。こちらの要望は聞いてくれないが、客の反応には敏感な店なのだ。

・ビールを追加すると、今度は瓶ビール(大)が来た。さっきは中瓶だったのに。

・暇になったオモニがしゃべりかけてくる。8割くらいは韓国語なのでよく分からないが、多少は理解できた。日本に来て20年以上経つが、10年くらいは朝鮮人しか居ない地域に住んでいたので、未だに日本語は分からないそうだ。
・電話の感じでは全く愛想のない店なのかと思っていたがそうでもなく、フレンドリーですらある。そして「ボーネンカイ、10人、20人、2階もアル」と、しきりに忘年会の営業を掛けてくるのであった。

・鍋を食べ終わると、残った少量のスープにごはんを入れて「ヤキメシ」にしてくれる。雑炊ではなく、水分をほとんど飛ばしてヤキメシ。石焼きビビンバとかそういう雰囲気。
・スープは真っ赤なので辛いのだと思い込んでいたが、実は辛くないと今さら気付く。そしてこのスープが実にうまい。何の味、と例えることが出来ないが、まろやかで非常に良い。

・お腹いっぱいになったので帰ろうとすると「座ってクダサイ」と言われ、着席。デザートにみかんをサービスしてくれた。
・オモニは韓国のテレビを見ている。実にのどかな感じなのだった。補身湯2人前(3人前にサービス)、ビール3本で会計は3人で12,000円。廉くもないが、十分お腹いっぱいになったので高くもない。
・帰り、焼肉屋のようにガムやキャンディーをくれるんだけど、一人3個もくれる。とにかくサービスの店なのだ。「マタキテクダサイー」の声に送られて店を出る。
・で、補身湯を食べると体が温まるとか元気になるとか言う。オモニは「アシタ、アサ、ピカピカ」と美肌効果も主張していたが、そのような変化は私の場合はなかった。

・結論:日本語がほとんど通じないので敷居は高いが、入ってしまえば親切な店。犬鍋1人前5,000円は高いようだが、量はたっぷり。
開城食堂 ケソンシクタン - 今里(近鉄)/韓国料理 [食べログ]

・さてあとは蛇が食べたいな。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック