2019年01月16日

オストレア・小笹寿し・八百屋お七・うまや・鎌倉山

Pop is dead.
Pop is dead.■1/某日
・仕事が終わってから田舎を脱出し、赤坂のモントレに投宿
・夜遅く、牡蠣を食べにオストレア赤坂見附店へ。今回、海外産の牡蠣はほとんど無し。この店の国産牡蠣はたいてい不味いのでどうかと思ったが、まずまず。ただ「これはうまい」と感心するものはなかった。あとお酒を2杯ほど飲んで、牡蠣と青じそのリゾット、これだけで2名1万円ほどだったか、やっぱり高いな。でも海外の牡蠣が豊富な店を他に知らないので、年1回くらいは来てしまう。

・その後、ティアレでお酒を何杯か飲んで帰る。ここは標準のジンがボンベイサファイアのスター・オブ・ボンベイのようだ。高級なジンではあるが、これを標準にしてしまうのはどうなんだろう。

■1/某+1日
・このホテルの口コミ情報を見ると朝食ビュッフェがうまいということになっているが、実際はちっともうまくない。品数も貧相で「この少ない選択肢の中で朝食を構成しなければいけないのか」と暗澹たる気持ちになる。

・完成したとらやの店舗を見た後、丹後坂を通って赤坂まで歩き、乃木坂まで一駅。青山霊園の崖線を見物しながら表参道へ出て、銀座線で新橋まで。
・今回のテーマの一つは、奥さんを連れて冬の小笹寿しにゆくことであって、12時の開店と同時に店に入る。かわはぎのお刺身でお酒を少し飲んでから握り。
・何が出たかな、平目、皮目の付いた鯛、かわはぎ、鱚、鮑、小肌、車海老のおぼろを添えた小肌、漬け鮪、中トロ、蛤あたりが出たかな。あと何貫かあったと思うが失念。最後に小柱と白魚をお願いしておしまい。鯛と小柱が美味しかった印象
・ここの店はほぼ全ての魚に仕事がしてあって、味は塩辛目、御飯も多めで、つまり古式ゆかしい江戸前のすし屋だと理解している。お腹いっぱい食べて二人で3万円弱と、銀座のすし屋にしてはかなりリーズナブルである。

・思えば若い頃は寿司・天ぷら・蕎麦なにを食べるにしても酒をガバガバ飲んでいたが、今は1合飲むか飲まないか(ただし蕎麦屋ではたいがい2合)である。歳を取ったということもあるが「それが正しい」と思うようになったのだ。
・何より酒を飲み過ぎると食事が食べられなくなる。30代の頃、そう思っていた所で池波正太郎の「男の作法」を読む機会があった。そこに「すし屋や天ぷら屋では酒をガバガバ飲むな」といったことが書いてあって「あ、やっぱりそれが正しいのか」と気付いたのだった。さらに先日、魯山人の書いたものを再読していると確か「すし屋で酒を出すようになったのは戦後から」と書いてあったように思う。そうか、元々すしは立ち食いのものだったから、お酒を飲む人はいなかったわけだ。それが言わば正統な寿司の食べ方なんだな、と思うようになり、いよいよ酒は控えるようになった。
・そんなこんなで、最近はいい料理屋では酒はほとんど飲まないようになった。

・鳩居堂、伊東屋など見物しカフェ・ド・ランブルへ。これは奥さんのリクエスト。甘い物を口に入れたかったのでブラン・エ・ノワールという甘いコーヒーを。蜂蜜のような奥深い甘さのある不思議な飲み物だった。浮かしてあったミルクには若干の塩味を感じた。
・今回、ランブルというのが「ル・アンブル(琥珀)」だと今さら気付いた。

・三越で弁当を買って歌舞伎座へ。今回の狙いは「お土砂」である。こういう演目があることは子供の頃から知っていて、見たかったのだが今回が初見
・その前に「絵本太功記・尼ヶ崎閑居の段」今回は席が悪く、光秀登場シーンもほとんど見えず。数年前に確か今回と同じキャストでやったと思うが、その時と比べると吉右衛門の出来が数段悪く、あまり感心しなかった。初菊の米吉は相変わらず可愛いが、演技は表面的過ぎてまだまだ。というかむしろ後退してないか?歌六はいつ見ても安定の出来
・次が「勢獅子」で、最後が八百屋お七。猿之助の「お土砂」は面白かったが、もう少し、やり過ぎなほどにやっちゃっても良いんじゃないか、正月なんだし、猿之助なんだし。
・竹三郎は休演。11月中旬頃からずっと休んでいるのだろうか。
・本日のトリはお七の火の見櫓で、僕は元来踊りに余り興味がないので流し見しようかと思っていたのだが、これがとんでもない料簡違いだった。すなわち、七之助の人形振りが絶品だったのだ。七之助から魂が抜けている、完全に人形になっている。動きも素晴らしいし、ラストで人間に戻るところまで、完璧に見えた。この日の中では吉右衛門を超えて、七之助のこの一幕が最大の見物だった。
・そういうわけで、七之助はやはり名優だと再認識した(「桜の森の満開の下」での演技が毬谷友子まんまだったので、ちょっとナメていたのだ)役者としての狂気を感じるような人は、この人以外に思い当たらない。この人が「黒塚」を踊ったらどんな感じなのだろうか。
(とか思ってたら渡辺保先生の評では吉右衛門絶賛、七之助ボロクソでした。なお米吉ボロクソは想定内だし同意見です)

・終演後、猿之助つながりで赤坂・うまやで一杯。焼き鳥1本360円とか、かなり暴力的な価格設定の店だがよく流行っている。味は可もなく不可もないが、外観も内装も、雰囲気は良い。ただしこういう価格設定の店で店員呼び出しボタンがあるのとか、どうなんでしょう。ほんの少しだけ飲んで食べて一人3,000円、チェーンの居酒屋なら腹がはち切れるほど飲み食いできそう。
・ティアレを覗くが満席なのでコンビニで酒を買って部屋で飲む。

■1/某+2日
・ホテルで陰鬱に朝食後、銀座線でいったん日本橋まで行って荷物をコインロッカーに放り込んでから再び銀座。ギンザシックスをひやかしてから鎌倉山・銀座店へ。

・鎌倉山で奥さんにうまいローストビーフを食べさせる、というのも今回のテーマ。昼の一番廉いコース(それでも6,500円!)を頼む。
・まず大仰な前菜(金目鯛、帆立、生ハムメロン)が出る。この帆立がうまかった。肉より帆立に感心してしまった。
・次にローストビーフが出てデザートでおしまい。実質2皿のコースだが量が多いので、昼ならこれで十分(それでも6,500円!)
・やっぱりここのローストビーフは良い。伊丹十三が書いていた「血のしたたるローストビーフ」とはこれだ、と思う。ちまたで広く食べられているパサパサのローストビーフはあれは完全に偽物だ、と分かる。ただ脂が多いので50近い身には少しつらい。上位のコースになるとフィレも選べるのだけれど(標準はロース)それだと12,500円!皿数も多いし、ちょっと手が出ないなあ。

・食事後、上野まで出て鈴本へ。一之輔が出ているらしいので、見に行こうかと思ったが満席で断念。小三治が出て満席というのなら分かるけれど、こう言っては失礼だが一之輔程度で満席になられたら「ちょっと寄席にでも行こうか」という気持ちにはならなくなるなあ。テレビなんかに出て下手に人気が出るのも考え物ですよ。

・仕方ないので帰路に着く。帰って数日後、あることに気付く。私の人生プランではあと25年くらいで死ぬ、という事になっているのだが、食べたい店や行きたい所が100あった場合、1年に4件行かなければ死ぬまでに消化できないのだ。これはちょっとした衝撃だった。まずリストを作らなければいけないか。
posted by LSTY | Comment(0) | 日記 | このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]