そんな中、入居の審査がどうしても通らない物件があって、僕は心底から怒っていた。
自分の貯蓄額や職務経歴、東京なら年収1,000万円は稼げるであろう経験を示し、賃借契約期間の24か月分、家賃を前払いしても良い、という究極の部分まで譲歩したのに、首を縦に振らない。
何が不満なのか?
何を求めているのか?それについても具体的に述べない。のらりくらりとオーナー審査を徒に引き延ばしているだけ。さすがの私にも火が付いた。
しかし、貸主が賃貸契約を一方的に断ることについては、法律上認められており、拒否理由の説明責任もない。
しかし、ここまでの譲歩案を提示しているにもかかわらず、あいかわらずノラリクラリとされていては、これはただの「いやがらせ」だ。この時期、不動産の空き物件はどんどん埋まってゆく。1日どころか1時間の戦いである。
あまりにも理不尽で不誠実な対応に憤り、私は不動産業者を介して「法廷で戦えないのであれば、超法規的な手段を取らざるを得ない」というメッセージを出した。
で、奥さんに怒られた。「本当に思っていた事でも、文字にすることで暴力になるんだよ」と言われた。結婚して初めて、怒られたと思う。不倫したときには殴られたけど、言葉では怒られなかった。
今まで僕のやることを全面的に受容してくれた奥さんに、初めて怒られた。反省するとともに、嬉しい気もする。
ま、つまりノロケだ。