忘れていたというか、書く暇がなかったのだ。
いや、時間的なヒマは山ほどあったが、精神的なヒマがなかった、というべきだ。
ところで本稿は1枚の写真と、それにまつわるクイズから始まる。

ざっと30年ほど前の、ヒステリック・グラマーのリュック。これだけの歳月が経つと「流行おくれ」というより「レトロフューチャー」な感じがする。
で、クイズ。
■このリュックの中には何が入っているでしょうか?
恐らく誰も正解を言い当てられないだろう。
なのでいきなり正解を書くと「おむつ」です。たしか6着だったかな。
え?介護?と思われるかもしれないけれど純然とした「自分用」です。50手前にしておむつを使う事になるとは……
これには事情がありまして、要は大腸の内視鏡検査を受けたのです。
健康診断で要精密検査となったので検査したんですが、まああんまり心配はなかった。
というのは、胃カメラをのんだ経験があるからですね。あれはつらかった。喉に管突っ込まれて、ねえ。
鼻から入れるタイプもあって、あれはかなり楽だけど、鼻や口から煙草程度の太さの管を入れられるっていうのはしんどいですよ。
その点、お尻については。尾籠な話になるけれど毎日それなりの太さのものが出てくるわけでしょう。
たしかに管を挿入するということは遡行にあたるものの、要は「穴の大きさ x 挿入する管の太さ」で考えた場合、問題はないだろうと。
で、結論から言うと検査自体は別に痛くもなく、無事終了したわけです。技師の人が上級者だったことも大きかったのだろうと思う。
ただ「検査前の準備」が大変なのです。胃カメラは前日夜絶食だけだが、大腸カメラの場合「検査の3日前」から食事制限が入る。つまり大腸内を空っぽにするために、お粥やうどんなんかばっかり食べることになる。食物繊維を多く含む野菜や、脂っこいものは御法度
これはつらかった。たった3日ではあるが食道楽の私にとって「食べたいものが食べられない」ことは相当の苦痛であった。
検査の前日には、とんかつ屋の店頭で食品サンプルを見ながら「あー、トンカツ食べたいなあ」と嘆息したほど。いわゆる飽食の時代だからこそ、食べたいものが食べられないってのが非常な事態であり、苦痛になるわけです。
で、そういう食生活をしていると便はどんどん柔らかく、ま、要は下痢状になる。最終日なんか水便ですね。
ところで、
検査前の注意事項として看護師から「当日、下着は多めに用意して頂いた方が良いですよ」という親切な、しかし恐怖を感じる教唆があったのです。
これ、ビビリますよね。検査前日から当日まで大量の下剤を飲むわけですよ。想像すると「常時、一触即発の事態」になるわけで、当然ながら「事故」すなわち「決壊」も想定される。
そういう意味での「下着は多めに」なわけだ。
あ、これヤバいな、と。
てなわけで購入したわけです、おむつを。で、当日は着用の上、病院に行った。
また結論から言うと、おむつは必要なかった。少なくとも私の場合、下剤をガブガブ飲んでも「排泄のタイミング」は自分でコントロールできた。
最終的に検査も大過なく終わり、結局のところ私の強迫観念の強さだけが証明されたわけだが、まあ勉強にはなった。
内視鏡検査ってのは胃にせよ大腸にせよ、それぞれに大変なものなのだなあ。