保坂和志という人が、「小説のレビューを書く人」を否定的に語っていたらしい。本文中でもコメント欄でもそれに反する意見が書かれているのだけれど、僕としては賛成できる意見だ。
一つずつの作品について良い悪いを判断したがる読者よりも「この作家が好き」と決めて本を買ってくれる読者をターゲットにした方が経済的に効率が良いから。
少なくとも批評は、作家に対しては良い影響を与えない物だと思う。自分の信条に基づいて本を書いている人には特に。基本的にレビューって消費者のためのもので、作家のためのものではないし。
あと、もう一つ、レビューする人の悪さっていうのは「レビューすることを前提に鑑賞してしまう」こと。これはあーだな、こーだな、あー書いてやろう、こー書いてやろうと思いながら小説を読んだり映画を見たりするのって、本当につまらない。
そんなのは職業批評家に任せて、我々はもっと単純に楽しみたい、と思う。
ブログを1年以上続けていると、日常にもブログの陰がつきまとう。何か事件が起こると「これ今日書こう」と思う。テレビや映画を見ている時も、無意識に「ネタ」を探している。ブログを書いていない人よりも10%は人生を楽しめていないような気がする。
ただの日記をつけているだけなら、そうでもないだろう。公開された日記を持っているから「少しでも面白いことを書かなければ」「いい事を書いてやろう」という見栄が働く。
極端に言えば「レビューを書くために人生を生きている」ようなもので、それじゃあ人生台無しだ。ま、そこまでひどい状況ではないわけだけど、もっと素直に日常を楽しみたいな、とは思う今日この頃。
あと、保坂氏の言葉の引用でもう一つナルホドと思ったこと。
>読んだあとにすぐにレビューを書こうと思う読みかたもだめなんです。
読書で得たものって、後からじわじわと効いてきたりする。だから読書の直後にレビュー書くのは損かな、とか。
でも、小説としての出来の善し悪しと、人生への影響って、あんまり相互に影響しないようにも思う、かな?
読書ブログはスポーツ観戦みたいな感覚かもしれないです。
サッカーもスポーツバーでみんなでわいわい見ながら
ジーコ監督の采配にケチつけたり野次飛ばしたりするじゃないですか?
読書も「あれは違うよねえ」とか「いやいや、あそこはあれでいいんですよ」とか
自分がそういったところで何か変わるわけじゃないんだけど
わいわい、みんなでいいあうのが楽しいのかも。
まあ、趣味とかブログとかって、お金や時間に余裕がある
暇な人たちが暇つぶしにやるものですから(笑)
そういう意味では読書も暇つぶしなので
「よし、レビューしてやるぞ」と読んで本人が楽しければ
それでよし、何か意味を求めて読むのもよしではないかと…
そもそも本の感想に正解はないと思うのです。
ただ、この年になって映画や小説を純粋に楽しみたい、と思う方が無理なのかな、とも思うのです。
僕自身は、実はレビューに対してそんなに否定的でもないのです。いろんな視点での感想って面白いから。
そういう人に限って「MCでこう言った」レベルの
重箱の隅しか書いてないことが多いんだけども
それで良い場合もありますが、現状を変えたい人はパソコンで意見を主張するよりも、自分と向き合った方が良いと思いつつ更新しまくっている私でした。
ブログに書くことで、一段落してしまうというか、自分の中で一旦「終わったこと」になっちゃうんですよね。
引っかかった物が外れる感じ。精神衛生上いい場合もあるんでしょうが。