昨日久しぶりに矢野顕子を聴いておどろいた。ここまでファンキーだったっけか?
矢野顕子といえば、あの甲高い声やら新興宗教がらみの噂やらで、食わず嫌いの人がずいぶんいそうな歌手です。
ここ20年くらいの活動はユルいしねえ。否定はしないけれど、今はわりと「普通の大御所歌手」っぽくて新譜はずいぶん買っていない。
でも、先入観で聴かない、とか過去作だから聴かない、というのはあまりにもったいない!というわけで、絞りに絞ってひとつだけ、じゃなくて3つだけ選んでみました。
1枚目は「Super Folk Song」で、これはもう音楽好き必携と言っていい傑作アルバムですね。矢野顕子はどうしても聴く気になれない、という人以外には薦めたいアルバム。
カヴァー集なんですが、どの曲を取っても「原曲より良すぎる」という、これはかえってオリジナルアーティストに失礼なんじゃないかという、すさまじい録音です。
全部ピアノ弾き語り一発録り。録音風景を映画化した「ピアノが愛した女」なんか見てると、テイク毎に全く違うわけですよ、フレーズが。要は全部即興みたいな物であって、天才というのはこういう人を言うのだろうと思いました。
タイトル曲「Super Folk Song」は矢野が糸井重里に提供した曲なんだけど、糸井はそのひどい歌唱力でめちゃくちゃにしてしまった。それを矢野が名曲としてよみがえらせた、という。
真ん中は「長月 神無月」、これ昨夜聴いてぶっ飛んだ。矢野顕子流ファンクの神髄。童謡が良い。もうすごいというか神が宿っているというか、リズムの取り方、歌い方、全身全霊ファンク。
ローリングストーンズの「サティスファクション」をDEVOがカヴァーしたでしょう、僕はあれが大好きなんだけど、それに近い衝撃。リズムを変えるとこんなに格好良くなるのか!という。
中でも僕は「金太郎」が大好きで、学生の頃、この歌い方を真似てヴォコーダーで宅録したことがあります。
ア、アーシガラ、ヤーマノ、ヤーマオクデー、エ!
最後は毎度挙げる「東京は夜の七時」です。僕は基本的にライブ盤好きじゃないんだけど、これは名盤。前に挙げた2枚は基本ピアノ一台なので、バンド編成の物が良いなあ、という方はこれから入門するのが良いかも知れないです。
YMOの3人+山下達郎+吉田美奈子参加。最後の曲では各メンバーのソロが聴けるんだけど、細野さんのベースソロ、渋くて好きです。
余談ですが「サッちゃん」のシャウトはテイ・トウワがサンプリングしたネタ。
日本人で、こういうグルーヴを先天的に持っているというか、完全に染みついちゃってる人って珍しいように思いますね。さっきも書いたけど、この人は分かりやす過ぎるほど分かりやすい「天才」です。
2007年09月14日
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聴いております時々矢野さんがそこで歌っているような錯覚があります。