2007年09月18日

9/15-17日記(黒澤明・勝新太郎・北野武)

Pop is dead.
Pop is dead.・先日テレビで放映されたドラマ「生きる」を録画したのだけれど、オリジナル未見のままテレビ版を見るのが屈辱的で、黒澤明のオリジナルを見る。
・期待はずれだった。黒澤映画の中では「七人の侍」に並ぶ高評価作品だと思うが、黒澤の持つすごさ、それは緊張感だったりスピード感だったりユーモアだったりするのだけれど、そういう良い面が出ていない作品。
・ただダラダラと暗い。暗さに抑揚がないというか、それ故に悲惨さが演出できていない。志村喬の演技も一本調子でつまらない。
・少なくとも僕は、この映画を黒澤の代表作とは思わないなあ。
・しかし「生きる」を見ていないということは長年の気がかりであって、見たことでようやく気が済んだ。

・オリジナルすら良いと思わなかったので、テレビ版は言わずもがな。「天国と地獄」にしてもそうだが、なんでああいう風に下品に音楽を入れるのだろうか、と思う。

・で、改めて数えてみたら僕が見た黒澤明監督作品は16本。ただしその内2本は途中で見るのをやめたので実質14本か。
・その中で一番好きなのは「まあだだよ」であって、黒澤作品の中では異色と言っていい作品。
・しかし、初めて黒澤映画を見る人に薦めるのは何か?というとやはり「乱」か。「乱」は美術の映画ですね。色彩、空間、建築とかの美的感覚がすごい。
・やはり初めて見る人に「七人の侍」はきついと思うのですね。207分!しかも「途中休憩」あり!あまりに長い。
・「用心棒(110分)」あたりかなあ。「用心棒」は、強いはずの主人公がコテンパンにやられるという、結構画期的な映画です。

・ただ、DVDレンタルで見る場合、旧作はお薦めしにくい。なぜなら、レンタル用のDVDでは音声が修復されていないから。少なくとも「生きる」は音声がひどくて聞き取れませんでした。なので字幕を出して見ざるを得ない。
・恐らく現在「普及版」として出ている廉価版DVDにも修復後の音声は入っていないと思うので、購入を検討される方には是非とも高い方を薦めたい。音が全然違うから。

・さて「生きる」と一緒に、溝口健二の「雨月物語」も借りてきたんですが、これは僕には面白くなかった。恥ずかしながら、溝口健二監督作品は初見。

・モノクロ映画といえば、少し前に見た勝新太郎の「不知火検校」は面白かった。勝新太郎演じる杉の市、飽くまでも卑怯で強欲で女たらし。健全なワルではなく、同情の余地のない悪者の出世譚。
・しかしこの映画にはチャンバラは出てこないわけで、やはり「座頭市物語」もあわせて見たい。ただカラー版になってからの座頭市はもうダメ。勝新太郎がもうやる気無いから。「俺はスターだ」ってオーラを全身から出していて、全然ダメ。
・北野武の座頭市も良いが、彼は最後のタップダンスで作品を台無しにしてしまった。あれさえなければと思う。

・そういえば最近、北野武の才能について疑問視する記事があった。
・実は僕も、コメディアンとしてのビートたけしは評価していない。いや、評価していないと言うよりも「好きではない」。
・子供の頃から僕はドリフ派であって、ひょうきん族を見たことはほとんど無いし、たまに見ても全く面白いとは思わなかった。「北野ファンクラブ」にしても、なんであれほどまでに支持されるのだろうか、と思っていた。
・日本お笑い界の歴史的にはビートたけしの価値はとても大きいのだろうが、個人的に面白いと思ったことはあまりない。

・で、映画監督としての北野武については、僕はとても好きである。「Dolls」は嫌いだけど。
・北野武作品の魅力は恐らく「間」だろう。確か淀川長治先生が言っていたが、例えば人が向こうに歩いてゆくとか車が走り去るシーンで、人や車が画面から消えた後しばらくカメラが残る感じ。ああいう「間」に美しさがある。
・また逆に、「余計な間」というか時間稼ぎは徹底的に排除している。例えば「ソナチネ」の冒頭、麻雀屋を殺すシーンなど、麻雀屋は結構あっけなく死んでしまう。「3-4x10月」なんかも、「え、もう終わっちゃうの?」と思うくらいにあっけなく終わる。尻切れトンボというわけではなく、無駄な説明を排除した撮り方。
・いずれにせよ両方とも「間」の問題だろう。
・北野作品未見の人には「ソナチネ」か、人が死ぬ映画が嫌いな方には「キッズ・リターン」を薦めたい。
・ただ多分、北野作品は「男の子の映画」だろうなあ。例えば僕はゴダールって「女の映画」だと思っていて、どうしてもゴダールを好きになれない、感覚的に理解できない。対してフェリーニは「男の映画」なんじゃないかなあ。
・そういう分け方をすると北野武は完全に「男の映画」だと思う。

・三連休、嫁と外出する以外は家を出ず。
・日曜、酷暑。
・日曜はバーミヤン、月曜はヌーベルシノワもどきの店で嫁と中華。

乱用心棒ソナチネキッズ・リターン
posted by LSTY | Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
私も『雨月物語』ダメだったんですよ。溝口作品全般苦手かも。何でだか分からないんですが。
Posted by 赤枕十庵 at 2007年09月19日 23:13
■十庵さん
 京マチ子は「羅生門」よりこっちの方が好きかなあ、と思いました。「羅生門」よりふっくらしてる感じで。
 あと、琵琶湖を船で渡るシーンはきれいでした。
 ただ、現実と幻想の描きわけが平面的だと思ったんですね、「ただのお話」になってるというか。
Posted by LSTY at 2007年09月20日 16:40
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