2008年01月22日

「間宮兄弟」と、日常を描いた傑作映画7本

Pop is dead.
間宮兄弟(通常版) 最近ケーブルテレビで「間宮兄弟」を見て、あまりの面白さに二回も続けて見てしまった。
 ものすごく好きなテイストの映画。
 この映画って「狂気の映画」なんですよ多分。森田芳光は「家族ゲーム」で、家族が崩壊する狂気を描いて、「間宮兄弟」で、絶対崩壊しない家族の狂気性を描いたんだろうと思う。

 しかしそんなことはどうでも良い。

 この映画というのは徹底的に何も起こらない映画、オープニングとエンディングにおいて、何も変化がないような映画です。兄弟の日常を撮りました、というだけの映画。
 考えてみれば僕はこういう映画が大好き。いわゆる「映画的な展開」のないような映画。そして、こういう映画が好きな人とは友達になれるなあ、とか思う。

 同じような趣味を持つ人のために、僕の好きな「日常映画」を挙げてみる。

まあだだよ デラックス版 黒澤明監督「まあだだよ」。黒澤作品中でもかなり評価の低い映画。しかし僕の中では黒澤作品中もっとも好きな映画。
 内田百間の晩年を描いた作品で、同じく百間先生を描いた「ツィゴイネルワイゼン」とは対極の、徹底的に浄化された、まあなんというか「老いた天使」を描いた映画と言いましょうか。

 「良いおっぱい悪いおっぱい」伊藤比呂美の同名随筆を映画化したもの。出産・育児映画なので一応映画的な展開があるものの、それを意識させないローテンションな進行が良い。中村有志が演じるちょっと頼りない夫が絶妙。
 アルゴプロジェクトの中でも傑作の部類に入ると思うんだけど、未だにDVD化されていないのは非常に残念。

無能の人 「無能の人」竹中直人初監督作品にして、おそらく唯一の傑作。
 つげ義春の同名漫画の映画化だが、良い意味でつげつげしていない。漫画を描くのをやめた漫画家(もちろんモデルはつげ本人)が、妻の稼ぎで糊口しながら、河原で拾った石を売る「石屋」になるという駄目人間の見本のような男を描く映画。
 石マニアの師弟にマルセ太郎と神戸浩、なんていうキャスティングも素敵。

亀は意外と速く泳ぐ デラックス版 三木聡監督「亀は意外と速く泳ぐ」。シティボーイズ公演の脚本・演出でお馴染みの三木聡監督作品。平凡な主婦がスパイになる映画、と書くとドラマチックだけれど、実際は何のドラマ性もないというか、実にゆるい展開。どうでも良い小ネタ満載。上野樹里と蒼井優が出てるという意味ではなかなかメジャー路線。僕はこの映画の蒼井優がかなり好きです。
 「地引き網は『遊び』か?『仕事』か?」など、数々の名ぜりふ有り。

お墓と離婚 あ、これを忘れていた。岩松了監督「お墓と離婚」。これもローテンションな映画で、しかもちょっと暗い感じで進行する、なかなか人に薦めにくい映画です。小林薫演じるお墓のセールスマンと、忌野清志郎演じる変な客との交流が良い。なぜか二人で温泉に行くシーンがあって、あれを見ると温泉に行きたくなる。

お早よう 小津安二郎監督「お早よう」。最近流行りの1960年代映画(1959年だけど)。もうこの映画はですね、兄弟役で出ている二人の男の子がものすごく可愛い。基本的にご近所の交流を描きました、というだけの映画なんですが、見ていてすべてがいちいち「良い」わけですよ。家族の描き方とか、男の感じとか女の感じとか、いちいち良い。今回挙げた中では一番「間宮兄弟」に近いかも知れない。

ソナチネ 北野武監督「ソナチネ」。ヤクザの抗争で人が死にまくる映画。なんでこれが「日常映画」なんだという。でも北野作品の偉大さっていうのは、多分ここにあるんだろうと思う。日常のすぐ隣に死があるというような。沖縄の田舎で、実に長閑に死を待つ男たちの、ああいう痛々しさ、ああいう風に「迫り来る死」を描くというのは北野監督ならではの表現。

 以上、すべて日本映画ですが適当に挙げてみました。
posted by LSTY | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーを含むはてなブックマーク
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